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歌集「春雪花」
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 君なくば

  心侘しき

   玉の緒は

 春にぞ溶け去る

    雪となりぬる



 このまま彼がいなかったら…慰めもなく、ただ淋しさに満ちた私の魂は、春には溶けて消え去ってしまうこの…真冬の雪のように儚く消えてしまうだろう…。

 彼だけが居れば良い…彼だけが私の光…。

 想いは報われることもなく、坦々とした日々に埋没してゆくのだろうか…。


 わが恋に

  雪も溶けにし

   冬時雨

 遠く想へど

     心届かず



 私のこの恋心に、雪も溶けてしまったのか…真冬に時雨たように雨が降る…。

 遠く離れた彼を想う、こんな私の心なぞ…彼の内に届くはずもなく…。

 どうしてこうも虚しくなってしまうのだろうか…。

 なぜ…私は彼を愛して止まないのだろう…。

 諦められないのだろう…。




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