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彼に似た星空
6.紅茶とショートブレッド
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 鎮守府に酒保が完備され、金剛型姉妹が全員揃った頃のことだった。緑茶に羊羹という黄金の組み合わせを教えてくれたお礼に、私は姉妹のお茶会に提督を招いた。その時に私は、自分が一番自信のあるブレンドの茶葉と、一番自信のあるショートブレッドを準備していた。

 ただ心残りなのが服だった。その日私たちはオフで、各々リラックスした私服を着ていた。比叡はTシャツとハーフパンツ、榛名はゆったりとしたセーターとショートパンツ、霧島はややタイトなシルエットのワイシャツにスキニージーンズ…皆、よく似合っている。

 私はその日、お気に入りのジャケットがクリーニング中ということもあり、仕方なく、インナーとしてワンピースを着て、アウターとして少し前に購入したアーミージャケットを羽織った。アーミージャケットもお気に入りといえばお気に入りなのだが、いかんせん、ゴツすぎてかわいくないのではないか…と妙な心配をしていた。

「お姉様お手製のショートブレッド! 司令にすべて取られる前に私も食べなくては!!!」

 と言いながら、味わっているかどうかさっぱり分からないスピードで次々ショートブレッドを平らげていく比叡をよそに、提督は実にゆったりと紅茶を飲み、ショートブレッドを味わっていた。

「テートク、どうデスカ?」

 緊張して思わずそう聞いてしまうほど、提督は無言で目を閉じ、紅茶を飲み、ショートブレッドを咀嚼していた。紅茶を口に含んでは鼻から静かに息を抜き、その後ショートブレッドを口に運び、そしてまた紅茶を飲み…提督はただ寡黙にその行為を繰り返していた。

 私の緊張は、他の姉妹にも伝わってしまうほどに膨れ上がっていた。さっきまで勢い良くショートブレッドを次々口に運んでいた比叡もその手を止め、榛名は次第におろおろし始めた。霧島も未だ冷静ではあったが、提督に注意を向けていた。

「ふーっ……」
「テートク……どうデシタか? 口に合わなかったデスカ?」

 緊張で声が震えてきた。私はこんな緊張を味わうためにお茶会を開いたわけじゃない。緑茶と羊羹を教えてくれた提督に、自分が出来る精一杯のお礼をしたかっただけだ。それなのになぜ私は今、こんなに緊張しなければならないのだろうか。すべては提督の、この真意の読み取れない態度に原因があるのだが…

「金剛。紅茶を淹れたのは金剛か?」
「ハイ」
「このショートブレッドは?」
「ワタシが作ったヨー。…美味しくなかったデスカ?」

 正直に言うと。この時の提督の顔はものすごく怖かった。深海棲艦と戦ってきた経験の中で、幾度となく当たれば致命傷の砲撃を紙一重で避け、ヒヤリとした経験はあった。だがその経験のどれよりも、今のこの提督の表情には恐怖を感じた。

「比叡」
「は、ハイ!!」
「お前はティータイムの時、
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