暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 16. Red Heath after Black Cat
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 20層のフィールドダンジョン『ひだまりの森』に行くのは、確か今回で二回目だった。取り立てて広いわけでもなく、強いモンスターが出てくるわけでもないこのダンジョンは20層が開放された直後から攻略組が参入し、速攻でマッピングが終わってしまった。武器の素材によく使われるアイテムが出るってこと以外は特に魅力は無く、俺たちを含む当時の攻略組連中はさっさと迷宮区へと興味を移した。
 まあ、そんくらい影の薄いダンジョンってこともあって、出てくる敵の種類とかレベルとかはすっかり忘れちまっていた。ただ、最前線より八層も下のダンジョンなら、モンスターのレベルは俺たちよりも遥かに格下。何がどんだけ出てこようが、まず問題にはならない。

 問題になったのは、

「全員後退。一護、前よろしく」
「へいへい」

 コイツら『月夜の黒猫団』の連携が予想以上になってねえってトコだ。

 今日八回目の後退命令がリーダーのケイタ――じゃなくてリーナから飛び、HPバーを減らした唯一の前衛であるテツオを殿に、黒猫団の連中がジリジリと下がる。それを追撃しようと追いすがったカマキリモンスターの鎌の一撃を手にした大剣(・・)で弾き、勢いそのままに斬り飛ばす。普段の刀の三倍はあるんじゃねえかって重さに右手が持ってかれそうになるが、重心を落として体勢をキープ、揺らぎそうになるのをどうにか堪えた。続けざまの一閃でもう片方の鎌の根元を切断、武器なしになったカマキリを蹴っ飛ばして、

「テツオ、スイッチ!」
「おうっ!!」

 糸目のメイス使いを前に出す。テツオは手にしたメイスを大きく振りかぶると、

「でりゃああぁぁっ!!」

 気合と共に一閃。メイス基本スキルの《ダイアゴナル》をカマキリの細い首に炸裂させ、HPバーをゼロまで削り取った。特に死亡アクションもなくポリゴン片になって散ったカマキリを見て歓声を上げて喜ぶ黒猫団の連中だったが、その陰でリーナがこっそりため息を吐いていた。
 コイツがちゃっかり指揮権みたいなモンを持ってんのはヒマを持て余したからだけじゃなく、戦闘に必死すぎて誰からも指示が飛ばない現状を見てられなくなったから、らしい。まあ、その気持ちは分からなくもねえ。前衛のテツオ一人がモンスターの攻撃を食い止め、そこを後ろから槍とかで刺しながらズルズル後退する、っていう基本スタイルを見てると、俺たちの仕事内容に指導が含まれてなくても「誰かさっさと前衛代わってやれよ」と言いたくもなる。
 だが、前衛職がテツオしかいねえらしいコイツらにそりゃあ無茶な注文で、結局俺にお鉢が回ってくるってワケだ。引率として付いてきた以上カバーに入るのは別に良いんだけどよ、もう何か俺とテツオがスイッチすんのがデフォになっちまって、俺が黒猫団の準レギュラーみてえになってきてる。ただ引率す
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