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笑顔も贈りものも
5部分:第五章
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第五章

「はい、いいわね」
「わかったわね」
「言いなさい」
「あの」
 ここまで言われてであった。仕方がなかった。敦子も遂に覚悟を決めたのであった。
 そうしてそのうえでだ。秀典に顔を向けて静かに、少しずつ言うのだった。
「私と」
「うん」
「次の曲で」
 そしてだった。何とか言った。
「踊ってくれないかしら」
「僕とだね」
「中村君さえよかったら」
 顔は真っ赤だ。表情は今にも死にそうである。しかしそれでも言うのであった。言ったと言ってもいい。とにかく言葉は出したのであった。
「どうか」
「わかったよ」
 秀典は微笑んで答えてきた。
「それじゃあね」
「いいのね」
「うん、僕でよかったら」
 その微笑みと共の言葉がまた出される。
「どうかね」
「よし、じゃあ」
「それで」
 話は決まりだった。秀典は自分から手を差し出してきた。敦子もそれを受ける。
「行こう」
「うん・・・・・・」
「えっ、嘘」
「こんなことって」
 それまで見ているだけだった周りの女の子達はこの展開に唖然となっていた。そうしてそのうえでそれぞれ驚きの声を出すのであった。
「中村君が女の子と一緒に」
「今まで誰がどう誘っても駄目だったのに」
「それで何で」
「どうして」
「真心よ」
 敦子の友人の一人が言ったのだった。
「真心を見せたからよ」
「真心を見せたから」
「だからなの」
「そう、だからなのよ」
 驚く面々に対しての言葉であった。
「だから。こうしてね」
「真心って」
「私達だって」
「そうよ」
 彼女達も言う。反論と言ってもよかった。しかしそれはこう返されたのであった。
「だから違うのよ」
「違うって!?」
「どう違うのよ」
「あんた達は笑顔やプレゼントを見せただけでしょ」
 それは本当のことだった。彼女達はただそうしたものを見せただけである。秀典に見せたものは本当にそうしたものだけだったのだ。  
 しかし敦子はどうかというとだった。それも話されるのだった。
「けれどあの娘は違ったのよ」
「真心を見せたっていうの!?」
「その真心を」
「顔を真っ赤にして何とか勇気を出して」
 先程の敦子の顔そのままである。
「それで言ったでしょ。一緒に踊って欲しいって」
「それなの」
「さっきの」
「演技なんかであんなことはできないわ」
 それはもう一目瞭然だった。誰が見てもわかるものだった。
「そうでしょ?だからなのよ」
「だからだったの」
「それで」
「そうよ。見なさい」
 今ダンスがはじまった。一同の視線は敦子と秀典に移っていた。二人は今場の中央にいる。皆の注目の中にあった。
「二人をね」
「何ていうか」
「晴れやかっていうか」
「本当に嬉
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