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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八話 シミュレーション
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事はすべきではないという意見が出た事だ。まったく同感だ。俺自身ロイエンタールやミッターマイヤーの対戦記録をダウンロードし、教本として使っている。
「どうだろう。嫌かな」
「……考えておきます」

 ミュラー達が帰った後、俺はしばらく読書をし(昨日の本の続きだ)、7時頃食堂で食事をして部屋に向かった。ありがたい事に俺は1人部屋だった。本来2人部屋なのだが、俺の場合年齢が低く同室の人間に苛められかねないと言う理由で1人部屋だった。

だがそれとは別にもう1つ理由がある。俺は童顔というより女顔なのだ。髪の色、眼の色は父親譲りで黒なのだが、容貌は完璧なまでに母親似だった。小さいころ母に連れられて歩いているとよく女の子に間違えられ、「かわいいお嬢さんですね」と言われたものだ。当然だが軍では同性愛は禁止だ。俺の場合はそれを誘発しかねない。さて、部屋に戻ったら明日の予習をして、資格取得の勉強をしなくては。

部屋に戻るとTV電話に留守電が入っている。ミュラー達3人からだった。
「決して意趣返しとかじゃない。自分より強い相手と対戦して少しでも上手くなりたいだけなんだ。信じて欲しい」
「俺がこんな事を言える立場じゃない事はわかっている。でもあいつは本当にいいやつなんだ。決して意趣返しとかじゃない。だから一度でいいから対戦してもらえないだろうか」
「……ああ、その、なんと言うか、ミュラーと対戦してもらえないだろうか、頼む!」

 畜生。こんな風に頼まれたら断れないじゃないか。まったく悪賢い奴らだ。フェルナー、お前か?
 

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