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swordarton-line〜二度目の世界〜
普段→家庭
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「「いってきます」」
二人でそういい家を出る。駅までは一緒に歩いていく。駅についてからは別の電車に乗る。二人とも中学生だが、行く学校は異なる。芽吹は公立の普通科であるのに対し、黒は私立の学校だ。裏鳴家にエリート教育の風潮はない。それなのに黒が私立校に通っているのは、他でもない本人の希望である。
瞬間記憶、絶対記憶を持っている黒にとって、勉強などただの暇つぶしにしかならない。そして能力により、小学校から突出した成績をたたき出していた。また黒もいろいろな情報を得て私立中学への入学を希望した。加えて黒の心は、養子である自分に愛情を注いでくれた両親を喜ばせたいと思う気持ちが大きかった。
 そういう意図もあり私立の学校への入学を決意した。
「お兄ちゃん、行ってらっしゃい」
「ああ。いってくるよ。芽吹も気を付けてな」
「うん!」
これだけ会話をして電車に乗り、それぞれの学校まで歩き出す。このときとは限らず、黒はいつでも負い目を感じている。しかし、こんな日常の他愛無いような会話で、少しずつ黒は変わっていった。
 駅から出ると誰とも関わらずに校門まで一直線に歩いていく―予定だった。しかし校門に入る直前、ある少女が話しかけてくる。同じ中学の制服を付けた学生。生徒会長。今村(いまむら) 藍(あい)華(か)だ。端麗な顔立ちで黒髪ロング。「黒」も髪色は黒だが、藍華は少し青に近い、名前にあるような。藍色が特徴的だ。
目元もくっきりしており百人いれば百人が美少女と認めるような容姿だ。
「おはよう…」
「おはようございます」
黒はそれだけ挨拶をして教室に早足に向かおうとする。すると黒の手を藍花は掴みとり、黒は立ち止まる。
「あなた、もう中学校最後の年なのよ。今までいろいろ言ってきたやつらを見返してみようとか思わないの?見ていても腹が立ってくるわ」
「別に実害はないので問題ないですし、多分みなさん自分が今村さんと話していることに嫉妬しているだけだと思いますよ」
藍花は少しだけ顔を赤めて、言葉をだす。
「嫉妬って、あなたは…。真面目に聞いているのに、何流暢なこと言っているの!」
黒は相手の顔色を伺い言葉を返す。もちろんこの場を抜け出すための言葉だ。
「自分は急いでいるのでこれで」
この場を抜け出すには全く以て心許ない言葉だが、一刻でも早くこの場から退散するには言葉で押し切る他無いと黒は思ったのだ。黒が考えなかっただけで、話し合うなどの方法も考えられる。
「ま、待ちなさい!」
聞く耳を軽く立てて言の葉を返す。
「まだなにか用事ですか?」
「いや、あの」
「ないのならこれで」
黒はこれだけ告げて学校の校門を抜け、自分のクラス、三-Aの教室に向かい入る。
 黒は藍華を避けているように見えるが、別に嫌いなわけではない。むしろ好いている。ここまで不愛
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