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妄想
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第一章

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 渡部敦之は中学二年だ。所謂中二と実際に言われる年頃だ。
 この年代になるとだ。常にこうだった。
 集ればそれだけでだ。こんな話をするのだった。
「三組の稲盛っていいよな」
「ああ、胸大きいよな」
「もうバルンバルンでな」
「体育の時なんかたまらないよな」
「最高だよな」
「女は胸だよ」
 こんな言葉が出た。自然にだ。
「もう胸が大きくないとな」
「そうだよな。駄目だよな」
「女は胸」
「あの胸に顔を挟まれてえよな」
「いや、胸だけじゃなくてな」
 ここからだ。話がさらにいやらしいものになるのだった。
「別のものもだよな」
「そうそう、それなあ」
「それでズリっていうか?」
「それして欲しいよな」
「全くだよ」
 こんな話をする彼等だった。そしてだ。
 敦之はさらにだ。別の人間の話も出すのだった。
「同じ三組の松井もよくないか?」
「ああ、あいつな」
「あいつは脚だよな」
「半ズボンから見える脚なんてな」
「凄くいいよな」
 この学校では体操服は半ズボンなのだ。スパッツではないのだ。
「女は胸だけじゃない」
「脚もか」
「それもあるんだな」
「それに気付いたぜ」
 仲間達も敦之の言葉でだ。それに気付いたというのだ。話は青春のものだった。ただしあまりよくない意味での青春である。
 そしてその青春がだ。さらに話されるのだった。
「しかしうちの学校の体操服ってな」
「愛想ないよな」
「昔はブルマだったんだろ?」
「そうだよな」
 最早この世には存在自体が消えようとしているものである。
「半ズボンなんてなあ」
「今一つ色気がないよな」
「ああ、駄目だ駄目だ」
「しかもだぜ?」
 体操服からだ。さらに話されるのだった。
「セーラー服のスカートの丈も長いしな」
「膝隠れるからなあ」
「校則も厳しいしな」
「下着もあれだろ?」
 話はさらに動く。よからぬ方向にだ。
 青臭いというかもっとわいせつな匂いがするとも言っていいかも知れない。そうした話がだ。彼等の中でさらに動いていくのだった。
「白だけだったよな」
「ああ、白な」
「白だけだからな」
「男の下着なんて全然規制してないのにな」
 今時そうした学校もない。男の下着に興味がある人間なぞいない。
「俺なんかトランクスだぜ」
「俺もだよ」
「俺もだ」
「俺はボクサーパンツだけれどな」
「トランクスでいいだろ」
 敦之もそれで終わらせる。男の下着については本当に誰も無関心だ。
 そしてだ。敦之はこんなことも話した。というよりかは話を戻した。
「下着は白な」
「うちの学校はそうだよな」
「女の子は白な」
「それは絶対らしいな
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