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ころり転げた
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 しかも胸がごつい。その美人はスカートを押さえて恥ずかしそうに言った。
「いやん」
 これが止めになった。昂揚達は死んだ。こうして彼等の偶然を引き起こす計画は終わったのだった。
 その彼等はだ。次の日自分達のクラスでだ。昨日までのことを話すのだった。
「全くなあ」
「酷いもの観たよな」
「何であそこでニューハーフの人が出て来るんだよ」
「商店街に出て来たんだ?」
「あれもまさか」
 昂揚はだ。強張った顔で友人達に話した。
「偶然だったのかもな」
「おかまさんが俺達の前を通るのもか?」
「偶然だったっていうのかよ」
「そうだったのかよ」
「多分な」
 そうだとだ。昂揚は強張りの中に疲れ切った、昨日のダメージをそのまま引き摺った顔でだ。そのうえで同志達に話したのである。
「あれもそうだったんだよ」
「偶然おかまさんが通ってか」
「俺達は偶然を起こしちまってそれでおかまさんのパンツを見ちまった」
「偶然そうなったんだな」
 人為的な行いを偶然と言うかどうかは置いておいてだ。彼等は切実な顔で話していく。一つの机の周りにそれぞれの椅子を持って来て顔を突き合わせながら。
「何て恐ろしいんだ、世界ってやつは」
「あんなことが起こるなんてな」
「先生の言うことは本当だったんだな」
「偶然あんなことが起こるなんてな」
「俺もわかったぜ」
 昂揚も言った。
「世の中には偶然ってやつがあってな」
「それでだよな」
「その偶然がな」
「恐ろしいことを引き起こすんだ。ああしてな」
「先生の言う通りだな」
「偶然悪いことが起こるな」
 彼等は偶然が起こす恐怖を知ったのだった。しかしだ。
 その中でだ。こんなことも話すのだった。
「けれどいいことって起こるのかね」
「偶然が起こすいいことってな」
「それはあるのかね」
「あったらいいよな」
 昂揚もそれは切実に言った。
「あんな酷いもの見たんだからな」
「だよなあ。最後のいやんなんてな」
「俺夢に見たぜ」
「俺もだよ」
「俺もそう思うぜ」
 昂揚も言う。そんな話をしてだった。
 彼等は偶然が起こすいいことなぞあるものかと考えた。しかしだ。
 その彼等の前でだ。クラスの女の子達が楽しく談笑をしていた。談笑に夢中でだ。彼等の視線の存在を忘れてだ。そしてだった。
 スカートをなおす為か両手でばたばたさせた。すると偶然だ。
 そのうちの一人のスカートの中を見たのだった。それを見てだ。昂揚は言った。
「偶然いいこともあるんだな」
「ああ、そうだな」
「どうやらな」
 そのこともわかったのだった。今だ。偶然は確かに存在し悪いこともいいことも引
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