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未来から過去へ

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 幾重にも分かれた外史が突如として集束し、ひとつの外史を生み出した。

 その外史は未来と過去が繋がりひとつの外史となる。

 それは本来ならばあり得ない事。

 だが、多くの外史で望まれた願いが、世界の理をねじ曲げ、形を成したのだった。





「う〜ん……」

「とうさま起きて!」

 何時ものように布団を被り二度寝に入った青年に対して、その布団を引き剥がすように揺り動かす。

「もう少し寝かせてくれ」

 そんな行為に対して青年が取った行動は、布団を頭まで被り直して亀のように閉じ籠ることだった。

「そんなものでは起きないんじゃないか?」

「あー! 愛がパパの布団に潜り込んでる!」

「ずるいじょ!」

 二度寝をしたいところではあったが、こうまで周囲で騒がれては眠るに眠れない。

 そのため、青年───北郷一刀は目を擦りながら起き上った。

 上体を起こした一刀の目の前には、3歳〜5歳くらいの子供たちが一刀の寝ている布団を取り囲むようにして集まっている。

 そんな子供たちは好き放題にやりたいことをやっていた。

 布団で綱引きをしたり、部屋の中で好き勝手に暴れ回ったり、期待するような目で一刀を見ていたり、一部の子は一刀の布団の中に潜り込んだりと色々だ。

 一刀はその子供たちに見覚えなど無く、突然の出来事に夢であることを疑い頬をつねる。

 しかし、返ってきたのは頬を引っ張ることに伴う痛み。

 それをどう勘違いしたのか、目の前にいる子供たちは面白そうに一刀の真似をして頬を引っ張ってみたり、一刀の頬を引っ張ったりしている。

 脳に伝えられた痛みに、今見えているものも幻視ではなさそうであることを一刀は悟った。

 それを確信に変えるため、恐る恐る一番近くに来ていた子供を抱き寄せる。

「捕まったのだーーー」

「爛々が捕まった!」

「爛々だけずるい!」

「次はわたしーーー」

 手に感じる重みは確かに有り、抱き寄せると温もりを感じる。

 そして、ここまでくれば、混乱した頭でも周囲の状況を認識し始める。

 全く見覚えのない部屋。

 子供たち。

 一体どんなドッキリなのかと一瞬考えたが、ここまで凝ったことを自宅でされるような覚えも無ければ、家族がそこまでするとも思えない。

 一刀は冷静になってここに来るまで自分は何をしていたのかを考え出した。

 そんな一刀の事などお構いなしに、抱きかかえていた子供は逃げ去り、次は自分の番とばかりに他の子供たちが押しくらまんじゅうのごとく寄ってくる。

 一刀は子供たちに埋もれながら昨日の事を思い出していた。

(昨日は学校に行って───痛っ! 家に帰って──
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