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大海原でつかまえて
07.妖精さんは頭の上が好きらしい
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 皆に見送られて出港した僕達は、僕と岸田の特殊艇“てれたびーず”を中心に輪形陣を組み、最大船速で姉ちゃんのいる海域に向かった。てれたびーずの操縦を行うのは、World of Warshipsに最近はまっている岸田。岸田は素人とは思えない見事な操縦技術をキーボードとマウスで見せつけ、提督たちを感心させていた。

 僕はというと、とりあえず敵潜水艦隊に遭遇するまでは出番無し。当初は姉ちゃんがいる海域までは出番はない予定だったのだが、出撃前にあきつ丸さんから……

『丸腰のままシュウ殿を行かせるのは忍びない。せめてこれをお持ちいただきたいのであります』

と言われ、緑色のヘリコプターの模型のようなものを渡された。小さいながらも精巧に作り上げられたそのヘリの運転席には、小さな人……妖精さんが二人乗っており、妖精さんたちは運転席から僕の方を見て敬礼をした。

「ほう。カ号観測機ですね。これは助かります」

 僕の隣に立っていた加賀さんが、受け取ったヘリコプターを見てそう言う。

「かごうかんそくき?」
「いえーす。今、球磨やキソーが装備している対潜装備と同じぐらい、潜水艦キラー装備ネー」
「シュウがこれで隊潜攻撃に参加してくれると助かるクマ!」

 金剛さんと球磨さんが続けてそう言う。そっか。この子たちを連れて行けば、僕もみんなと一緒に戦えるのか。

「そうクマ。今の球磨やキソーと同じく、対潜の鬼になれるクマ」
「そのとおりであります。このあきつ丸、ぜひともシュウ殿に、このカ号観測機をお持ちいただきたいのであります」
「そっか。ありがとうあきつ丸さん。妖精さんとカ号観測機、お預かりします」

 僕は、カ号観測機の運転席で敬礼をしている妖精さんたちに目線を向けた。さすがにずっとそこで待たせるのも申し訳ない気がする……

「運転席狭いだろうし、出撃までは僕に乗ってていいよ」

 僕がそう言うと妖精さんたちはピコンと反応し、運転席から飛び降りて僕の腕を伝い、一人は肩に乗り、もう一人は肩に上り……頭のてっぺんまでよじ登った。

「岸田」
「ん?」
「頭の妖精さん、今どんな顔してる?」
「盛大なドヤ顔だ。“俺が提督だッ!!”て言わんばかりの表情で水平線を指さしてるな」
「なるほど」
「プッ……妖精さんたちも、シュウ殿のことが気に入ったようであります」

 その後は皆に見送られて出撃。今はこうして海上を軽快に走っている。妖精さんたちは相変わらず僕の頭の上で周囲の警戒をしてくれていて、カ号観測機は僕の手元に置いてある。

「加賀さん! そろそろ彩雲で周囲の索敵を始めて下さい!!」
「わかったわ」

 岸田が加賀さんに指示を出し、加賀さんがそれに従い弓をつがえて射る。射たれた矢はカ号観測機ほどの大きさの飛
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