4部分：第四章
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第四章
「それもですね」
「そっちはどんなのだったんだよ」
「リーゼントだったんですよ」
「リーゼントっていうと確か」
「それは御存知ですよね」
「あれだよな。年配のロックのおっさんがやってるみたいな」
彼にとってはそういうものだった。そのリーゼントは。
「ポマードか何かで上にやってトサカにした」
「はい、あれです」
「あれにしてたのかよ」
「他にはパーマとかアフロとかもしてました」
「パーマ？アフロ？」
こうした髪型もだ。大輔は知っていた。しかしだ。
またしても彼の中にあることからだ。彼は店員に話した。
「おっさんとかおばさんがするものだよ、それって」
「その頃は違ったんですよ」
「俺達みたいなのがしてたのかよ」
「それで女の子もアフロだったりロングヘアだったりで。そうそう、アクセサリーもですね」
「ネックレスとかだよな」
「他にはマスクとかも」
マスクと聞いてだ。また顔を顰める大輔だった。それでだ。
これまで以上に怪訝な顔になりだ。またしても店員に尋ねたのだった。
「マスクっていうと風邪ひいた時とかに付けるあれだよな」
「それをいつも口に付けてたんですよ」
「風邪じゃないのにか」
「はい、そうしていました」
「一体何の意味があるんだ、それって」
「ですからアクセサリーです」
風邪でもないのにマスクをする、そのことにだ。
大輔は理解できないものを感じていた。しかしだ。
その彼にだ。店員は明るい笑顔でまたしても応えたのだった。
「それもです」
「訳のわからないアクセサリーだな」
「はい、そうした服とかのカタログは他にもありますけれど御覧になられますか？」
「お願いできるか？」
「はい、それでは」
こう話してだった。大輔は店員さんからその頃の不良の服のカタログをくまなく見させてもらった。そうしてそのうえでだ。彼はこう言うのだった。
「気に入ったよ」
「御気に召されましたか」
「格好いいよな」
そしてこう言う始末だった。
「最初は何だよって思ったけれどいいよ」
「ですか。まあこの頃は皆こうしたファッションでしたから」
「俺もしてみたいな」
格好いいなら自分もしてみたくなる。この年頃では常だ。
そのうえでだ。彼はこう言ったのだった。
「だから服ないか？」
「こうした服がですか」
「もうないか？こんな服」
「そうですね。まあうちの店の奥の方に」
「えっ、あるのかよ」
「探せばあるかも知れないですね」
店員は大輔に話す。
「ひょっとすればですが」
「あるのかよ」
「探しておきましょうか？」
店員は大輔にこう提案した。
「それで後で御連絡して」
「あればか」
「はい、そうしましょうか」
「そうだな。若しあればな」
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