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『殺し、失い、得たもの。』
『殺意』

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『舞?...舞...舞っ!!舞っ!!舞...居るんやろ?生きてるやろ?お願い...開けて...舞...』

2人共泣きながら...
声が出んくらい怖くて...
必死で舞を呼んだ。

カチャッ!ギィ――――…

『舞っ...!!!』

良かった...
ほんっっっまに...
安堵の涙が溢れ出た。

舞の目に涙はない。
感情が無い目。
遠くを見てる。
服は刃物で切られてる。
下着も同様。
零には、痛いほど解る。

『舞?舞...舞?まーいー?わかる?舞?』

舞が戻ってくるように声掛けを続けた。
舞を抱えて個室から出た。
零が服を脱いで舞に着させた。

桜が鞄から出したブランケットを舞の背中に掛けた。
零は舞を抱えたまま思いっ切り抱き締めた。
桜は舞を後ろから抱き締めた。

暫く、体温と意識を戻す為に必死だった。
桜は自販機に飲み物を買いに行った。

舞に、飲み物を少しずつ流し入れた。
無意識にコクッと飲んだ。
舞の目が少し戻ってきてる様な気がする。

声を掛ける。
名前を呼び続ける。
抱き締め続ける。
きつく。
きつく。
きつく...
戻ってきて!!って想いを込めて...

突然、舞が叫んだ。
戻った。
残酷な現実に...
記憶障害にはなってないみたい...。

人間には、あまりにも辛い体験をした場合、許容範囲を越えると記憶を失う能力が有る。
零は昔、そんな能力が欲しくて欲しくてたまらんかった。
...舞にも其の能力が在れば良かったのに...。

舞は叫んだ。
泣いた。
笑い出した。
解る。
解るよ。
イタイくらいに...
解る...
そうなるよね。

昔の自分とリンクした。

感情は既に抑えれん。

殺す。



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