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ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第76話 ホッホ峡の決戦X
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かないよ。……リーザスの為に!」
「ん……。リア様の為に!」

 疾風の如き速度で、戦場を駆け巡る影。2人の少女は 敵兵を瞬く間に散らしていったのだった。




「げうっ!」
「かふっっ!!」

 夜陰に乗じ、次々に血煙が舞う。その数だけ、物言わぬ身体も生まれる。

「く、くそ! 敵か!?? 一体どこにいるんだ! 明かりをよこせ!」
「は、はい……ぎゃあああああああ!!」

 ランタンを持つ手に、手裏剣が突き刺さり、ヘルマン兵達が先程まで使っていた大型の剣が、身体に突き刺さる。

「ごふっ……」

 ランタンが地面に落ちる音と、兵士が絶命して倒れ伏す音が重なった。

「う、ぐ、おっ……、ランタンを拾え、光を、誰か……誰かっ!」

 小隊長がしきりに声を上げるが、手にした瞬間に、襲われるのでは? と叫ぶ本人も含めて、誰もが硬直して動けない。

 厳密には、鎧を着た兵士の姿は捉えられている。……だが、攻撃しようとすれば、有り得ない方向からの攻撃が続き、そして 怯んでいる間に、その鎧を着た兵士の一撃で倒されてしまう。……姿を晒しているのが囮だと思い、注意するも、まるで意味を成さない。

 死神に見えてしまうのも無理はなく、その死神の。……死神と称される将軍のいる部隊の副将であることも、この場にいる者達は知る由もなかった。

「た、隊長……! この道は、無理です! 死、が……死が待っています!!!! あの鎧の奴以外に、何人いるのかすら、判りません!!」
「く、ど、どう言うことだ……! ええい、怯むな! ここを通れば、我らが3軍の……!」

 しびれを切らし、ランタンをつかみに行った小隊長が、途端に物言わぬ血だまりに倒れた。 その身体には、手裏剣やくない、そして こちら側が使用していた剣が突き刺さっている。

 投擲系の高い技能を保有する者が敵側にいる、と言う事は理解出来た。そして、倒れている兵士の数だけ、《弾数》が増えていると言う事も。

「た、隊長……! だめだ、にげろぉぉぉ!!!」

 誰かが叫んだ途端、恐怖が戦意を押しつぶした。部隊の士気は崩壊し、我先にと背中を見せて逃亡を図っていく。それは機動性を重視しすぎた故での結果だった。だが、指示したトーマを誰も責められる訳はない。腕に覚えがある者達は殆どが最前線で戦っているのだから。


 全てのヘルマン兵がいなくなり、気配がなくなったのを感じ取ると、かなみは、頭上の岩場から降り立った。

「ふぅ……一先ず、崩せたね」
「うん。とりあえずお疲れ様。かなみちゃん、元気の薬、いる?」
「ん、まだ大丈夫」

 かなみとメナドは軽くハイタッチを交わすと、後ろにいる部隊を少しだけ下がらせた。あまり前に出すぎて、後方が疎かになってし
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