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BAD BOY
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第一章

                      BAD BOY
 港の傍の倉庫が連なっているその中の路地裏にだ。俺達はいた。
 そしてそこの壁に背中をもたれかけさせて。俺は煙草を吸いながら隣にいるダチに言った。
 中学の頃から一緒にいる奴だ。いつも一緒につるんで馬鹿やったり喧嘩をしている。妙に気が合って一緒にいる。俺にとってはかけがえのないダチだ。
 そいつにだ。俺はこう言った。
「なあ」
「行けっていうのかよ」
「ああ、行けよ」
 こうだ。俺は一緒に煙草を吸っているそいつに行ってやった。
「行けばいいだろ」
「けれどここで俺が行ったらな」
「俺は一人になるっていうんだな」
「そうだよ。これからあれだろ」
「ああ、喧嘩だ」
 向こうから言ってきた。隣の高校の奴だ。噂ではかなり卑怯な奴で相手をタイマンだと呼んでおきながら仲間を呼んでそこでボコボコにする様な奴らしい。
 そんな奴が相手だからとこいつは来てくれた。しかしだった。
 俺はこいつの事情を聞いていた。それで言ってやった。
「御前あの娘いいのかよ」
「あいつかよ」
「そうだよ。あの娘のこといいのかよ」
 こうだ。隣で俺と同じ様に壁に背をもたれかけさせて煙草をくゆらせているそいつに言ってやった。
「それはどうなんだよ。待ってるんだろ」
「ああ、だろうな」
「だろうかじゃなくてな」
 俺はそいつに顔を向けた。そしてこうも言ってやった。
「御前の誕生日を自分の部屋で祝ってくれる為に待ってるんだろ」
「ケーキとか手作りの御馳走を用意してな」
「言ってやれよ」
 俺は声を少し強くさせて言った。
「早くな」
「けれど俺が行ったら御前は一人になるだろ」
「それがどうかしたのかよ」
「あいつの噂は聞いてるぜ。タイマンなんて嘘っぱちでな」
「仲間でボコボコにするってんだな」
「そうだよ。そんな奴のところに一人で行くのかよ」
「安心しろ、安心」
 根拠なくだ。俺はまた言ってやった。
「俺は強いからな。そう簡単にはな」
「負けないっていうんだな」
「ああ、そうだよ」
 喧嘩には自信があった。タイマンでも三人相手でも負けたことがない。だが四人とかになるとやっぱり辛い。けれどこのことは隠して言った言葉だ。
「それは御前も知ってるよな」
「知ってるさ」
「じゃあいいだろ」
 こう俺に言ってきた。また。
「それじゃあ俺もな」
「いや、俺だってな」
「御前だって。何だよ」
「これがあるからな」
 こう言ってやってだ。それからだ。
 俺は懐からあるものを出して見せてやった。二段式の警棒だ。
 その警棒を見せてだ。俺はこうも言ってやった。
「これがあればどんだけいてもな」
「勝てるっていうんだな」
「既にやるのが一番でもな
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