3部分:第三章
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第三章
「拙者、病気一つしたことがない。しかしだ」
「しかし?何だよ」
「何かあるのか?寝過ぎて」
「成績がよくないのだ」
学校のだ。それはだというのだ。
「全教科追試の危機だ。どうすればよいか」
「勉強しろ、勉強」
「寝ないで勉強しろ」
「寝てばかりだからそうなるんだよ」
「それだけ寝てたら当たり前だろ」
周囲の言葉はここでも呆れたものだった。
「本当によ。寝ることが生きがいかよ」
「寝る以外に何かあるのかよ」
「ずっと寝てばかりでな」
「それで満足してるのかよ」
「寝ることは実にいい」
今度はこんなことを言う総一郎だった。
「寝るが極楽だ」
「そうか。じゃあ全教科追試頑張れよ」
「寝て赤点なら本望だろ」
「一度冗談抜きで不眠症になるまで勉強しろよ」
「そうしろよ」
これがクラスメイト達の言葉だった。
「何かって思えば」
「授業中も寝てばかりでな」
「それで八時間しか寝れないとか」
「馬鹿みたいに寝てそれかよ」
こう言って総一郎に呆れる次第だった。結局彼は全教科追試すれすれだった。しかし追試にならなくてよかったとだ。彼はだ。
また寝るのだった。とにかくやたらと寝るのだった。そうしてだった。彼は寝て人生を過ごすのだった。まさに寝るが幸せであった。
不眠症 完
2011・5・30
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