暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第75話 ホッホ峡の決戦W
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の強者には、誰しもが備わっていると言える。……ただ、強い(・・)だけの者であれば 多数いるだろう。だが、心技体の全てを兼ね備えている者がいるか、と問われれば、頷き兼ねるな。リックはそれを言いたいのだろう?」
「あ、えと……はい。そうです」
「……ぷっ」

 超人的な体捌きと剣技で、敵陣を切り開いている最中だと言うのに、出る言葉はとても不器用なリック。そして、寡黙であり孤高の戦士のイメージが強い清十郎がまるで教師の様に説いている姿を見れば、ミスマッチとおもえて少しおかしくなる。

「自分は、まだまだなんです。軍人としても、剣士としても。今回、幾度も痛感させられています」
「……人は向上心を無くせば、そこで成長は止まると言うものだ。オレも常に心構えている。故に強者と戦うのは心躍るのだ。まだまだ、高みを目指せるのだからな」
「……そう、ね。私も、一緒の部分はあるかな。それに、ずいぶんと迷惑をかけたみたいだし……」

 この中、レイラとリックは魔人に操られて、手先となっていた事実がある。……その時の記憶は殆ど無いのだが、それでも少なからず残ってはいるのだ。その記憶が、レイラの心を縛るのだ。

「レイラ将軍は、任務を。……同胞を守るために、身を挺したのですから……立派です」
「本来であれば、戦場に立てる程、快復しているとは思えないんだがな。……オレは差別をするつもりはない、が。女の身で、その気高さは感服する」
「あ、あはは……。貴方達にそう言われたら、嬉しいわね。やっぱり」

 レイラは、軽く笑いながらそう言う。
 ひとしきり笑った後、リックの方を見て。

「後さ」
「は?」
「自分で言っておいて、なんだけど…… 将軍は今の内は止めましょうか。親衛隊も赤の軍も今はないんだし。清十郎さんの様に」
「……あ、バレス、殿にも言われました。それは」
「ふふ。リックの生真面目は筋金入りね」

 リックに比べたらいくらか年下のレイラなのだが、それでもいままでもそうだったが、呼びすてにしているのだ。……リックは今までも特に何も言わなかった。

「オレの事は呼びやすい呼び方で良い」
「ん〜 清十郎さんは なんていうか、《さん》付けの方がしっくり来るのよね。リックと違って」
「……あまり、歳は変わらないと思うんだが……。まぁ その辺りを含め、呼びやすい方で良い」
「判りました。清十郎殿。レイラ……殿。ではもう少しヘルマンに打撃を与えるとしましょう」
「無論だ」
「殿……、ね。うん 了解」

 話を交わしあってみて、なぜか軽やかになった気持ちを抱え、レイラは手の中のレイピアを握り直した。これも 不謹慎だと思うが、リック以上に、戦場を楽しんでいる自分が確実にいた。……心惹かれてる、から。

 



 そして
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