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異世界に呼ばれたら、魔法が使えるようになりました。
次の目的地
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わ。私の目的はその魔導書だし」

 エイダがそう言って僕の魔導書を見る。
 あまり戦いたくないなと思いながらも僕は、そこで気付いた。
 魔導書を取り出し、問題のページを見ようとする。

 だがエイダが覗き込もうとするので、魔道書がジタバタと逃げ惑う。
 これでは目的の場所が見えない。と、

「まあまあ、エイダ」
「颯太の邪魔をしてはいけません」

 リリアとレイアに片腕ずつ掴まれて、エイダひきはがされた。
 今の馬車は僕達しか乗っておらず、離れた場所に移動できる。
 と言うか馬車というよりは荷台ではあったが。

 そこでエイダが恨めしそうに、

「リリア、それに“花の姫”は邪魔しないで頂戴!」

 ただ聞きなれない言葉でレイアを呼んだエイダに僕はつい聞き返してしまう。

「“花の姫”って、レイアのこと?」
「あー、うん。だいたい分かるでしょう?」

 リリアがそう冗談めかして答える。
 確かにレイアは綺麗なので、そう呼ばれていてもおかしくはないが……。
 このしまったというようなエイダの表情を見ると他にも何かある気がする。

 よし、エイダは素直みたいだからその表情から確認させてもらおうと僕は考える。
 けれどそれ以上追求しても今は答えを教えてくれない気もするのでもう少し様子見だ。
 だってまだ僕はレイアに出会って数日なのだから。

 そう思って僕は今度は魔道書のその問題ページを見る。
 描かれた遺跡は“森に埋もれた秘蹟”とのことだった。

「レイアはこれを知っているかな」
「何がでしょうか」
「“森に埋もれた秘蹟”って知っている?」
「申し訳ありません。それについてはちょっと……」

 レイアが本当に申し訳無さそうに言うので僕は慌てて、

「別にいいんだ、そっか。とりあえず次の街でちょっと聞きこみをしてみようかな。もしかしたらあるかもしれないし」

 そう僕がレイアに答えた所で、今度はエイダが近づいてきて、

「次の街は、フレクスの町よね」

 確か乗合馬車の所にそんなことが書いてあったような気がすると僕は思い出した。
 そんな僕にエイダが楽しそうに笑い、

「私その町で、そんなような場所があるって話している人がいたのを知っているわ」
「え!?」
「せっかくだからその試験にも私は同席させてもらおうかしら。私の才能をその魔道書に魅せつける機会だわ」

 楽しそうに笑うエイダを見ながら僕はといえば、とりあえずは次の目的地は決まったのかなと思ったのだった。


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