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ポケットモンスター 急がば回れ
31 イエローとフジ老人
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を続け、その年のリーグチャンピオンになった。
彼の強さはそのバトルスタイルにあったが、ミュウを連れていた以前とは似ても似つかない凶暴さがあった。まるでミュウへの愛情を忘れようとするほどのな。
彼は修行のためシロガネ山に籠った。
音信不通になって3年ほど経った頃、彼の幽霊がシロガネ山に出るという噂が立った。幽霊とバトルをしたという者まで現れる始末じゃ。
今でも伝説になっておる。シロガネ山にかつてのチャンピオンの幽霊が現れてバトルを仕掛けてくる、と」

イエロー「少年は本当に亡くなったのですか?」

フジ「生きておるよ。
その少年は君の父親なのじゃから」

イエロー「父は僕がピカチュウを貰ったときに初めてポケモントレーナーの旅に出たはずですが」

フジ「おそらくシロガネ山に置いてきた記憶を思い出したのじゃろう。君がピカチュウを選んだことでな」

イエロー「シロガネ山の幽霊は父の記憶なのですか?」

フジ「幽霊というにはちと胡散臭いが、思念の塊が己に挑戦しようとはるばるシロガネ山まで来たトレーナーの思いに応え、ミュウの力で具現化したのじゃろう」

イエロー「一体ミュウは何のために……」

フジ「ミュウは姿を現す相手を選ぶ。その資格があるか試していたのじゃろう。まあ今は昔の話じゃ。
……さて、イエロー君。
どんな形であれ君はミュウに選ばれた人間じゃ。
変身を完全なものとしてピカチュウと旅を続けるも、ミュウを故郷であるこの島に残すも君次第。
ミュウはそれを君に選択してほしくてこの島にテレポートしてきた。洗礼を受けて決めることじゃ」

イエロー「洗礼とは、具体的にはどんなことをすれば?」

フジ「ミュウの記憶に触れるのじゃ。
人類が誕生する遥か昔、何億年という時間を一瞬で遡り、君はビジョンを見ることになるだろう。
わしも昔、洗礼を受けたことがある」

イエロー「そのときは何を感じましたか?」

フジ「昔のことではっきりとは覚えてないが、洗礼の後にこんな仮説を立てて研究所で大笑いされたことがあった。
ポケモンはモンスターボールで捕まえられて人間の命令に従ってバトルをしておる。
仲間や絆やチームワークと言ってしまえば聞こえはいいが、現実的に考えれば主従関係、主人と召使いじゃ。
ポケモンは弱ると小さくなって狭い空間に入りたがる、約100年前に発見されたポケモンの習性を利用して人間が優位に立っているだけに過ぎん。
だがそれも、あと何十年かすれば逆転する。
人間がポケモンを操る時代は終わり、ポケモンが人間を操る時代がやってくる。
なぜならポケモンは人間よりも知能の高い生物じゃ。その証拠にポケモンは人間の言葉を理解できても、人間はポケモンの言葉を理解できん。
ポケモンは人間を試しているのかもしれん。
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