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101番目の舶ィ語
第十六話。情報共有
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2010年6月19日4時30分。夜霞市内路上。


主人公としての力。
それはどういったものなのだろうか?
キリカは、俺の物語達にとっての『主人公』を描けとアドバイスをしてくれた。
俺の物語達にとっての『主人公』……物語から見た『主人公』。
百物語とは何か。
ふと、考え込んでいるとキリカに噛まれた手の甲が妙に熱くなっているのを感じていた。
……また何かされたのか?
神隠しの時に首筋につけられたキスマークが実は魔術の一つだったのを思い出す。
キリカはああ見えて、大量の蟲達を操り人やロアを襲う『魔女』だ。可愛い外見に騙されがちだが、キリカは俺や一之江や鳴央ちゃんとは違う人ではない純粋なロアなんだ。
彼女が何を考えて俺の味方をしているのか、その内心は読めない。
あんなサッパリとした子が、蟲みたいなグロいものを使うのかも俺には理解できない。
まあ、その辺りのミスマッチ差がある意味オカルトとかホラーっぽくて『魔女』的にはいいのかもしれないけどさ。
オカルトといえば……一之江は大丈夫だろうか?
確認したくてもできない。
一之江の姿を見れない、というのも理由の一つだが。(ロア状態の一之江を見たら俺は死ぬからな)
一番の理由は……。
怖いからだ。
俺のせいで傷ついた一之江を見るのが怖い。
アイツがまだ目覚めていないというのを見てしまったら、俺はきっとまた自分を責めてしまうと思うから。
だから……一之江の姿はまだ見れない。
それに出来ることなら一之江はギリギリまで休ませてやりたい。
次に氷澄やライン、ジーサードが現れた時は、音央や鳴央ちゃんの力に頼ろうと思う。
そう思って、詩穂先輩の自宅マンションまで戻ってくると。

「あ、やっと帰ってきた」

「一度自宅に帰られたのですね」

マンションの前に、六実姉妹が立っていた。

「あれ?」

「あれ? じゃないわよ、まったく。あんたの帰りを待っていたの」

「キリカさんから情報を貰っていらっしゃるのでは、と思いまして」

「あ、ああ、貰ってきたよ。『蒼の邪眼(ブルーアイズ)』や『境山のターボロリババア』。それに……『夜霞の首なしライダー(デュラサード)』の情報を」

「さっきの連中はそんな名前だったのね」

「境山にそんな都市伝説があったんですね……」

強気だけど、責任感がある音央。
おとなしめで、泣き虫な鳴央。
そんな二人がこうして待ち構えて。俺と会った早々、情報の話を聞いてきたということは。
……一緒に戦うつもりがある、ということか、アイツらと。

「一之江は?」

「ロア状態から戻ったら、ケガは何もなくなってたわ」

「ですが、かなりの疲労状態でしたので、眠っていただいています」

鳴央ちゃんの視線がマンショ
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