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おぢばにおかえり
第十八話 プールですその三
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 何はともあれ水着を着てプールに出ます。すると。
「おおっ」
 って感じでクラスの男達の視線を感じます。皆はっきりとは見ていないですけれどちらちらと見てきているのがわかります。まあこれはプールの時間は何処でもそうですけれど。
「ほらね」
「感じるでしょ」
 また皆が私に囁いてきました。
「視線を」
「ちっち見てるわよ」
「そう?」
 けれど私は見ていないような。皆を見ていて。
「私見られてないわよ」
「見られてないって」
 何か今の私の言葉には呆れた顔になっちゃったようです。顔に出ています。
「どういうことよ」
「だから。私は見ていないじゃない」
 また皆に言いました。
「皆を見ていて。私は無視されてるわよ」
「やれやれ。これは」
「ちっち、これから大変よ」
 皆それを聞いて呆れた顔にそこに笑みを混ぜて。小さな溜息を出してから言うのでした。
「そんなにねえ。気付かないって」
「彼氏もできそうにないわね」
「!?何でそうなるのよ」
 私には全然わからない言葉でした。
「彼氏がどうとかって。今はプールなのに」
「甘いわね」
「その通り」
 今度はこう言われました。言われっぱなしです。
「いいちっち、プールってのはね」
 その中の一人が私に対して言ってきました。彼女は背が高いので私を完全に見下ろしてです。見上げる首がしんどいです。
「戦場なのよ」
「プールが戦場って」
「そうよ。普段は見せない体型を」
 見せたらまずいと思います。それこそ。
「存分に見せてそのうえ」
「そのうえ?」
「脚よ」
 無意識のうちに彼女の脚を見てしまいました。その脚は私のなんかよりもずっと奇麗でした。というか私の脚の何処が奇麗なんでしょう。
「脚?」
「胸もお尻も。はっきり形がわかるわよね」
「ええ」 
 下着と変わりません。だから嫌でもあるんですけれど。
「脚を見せる。特にね」
「それでどうするの?」
「だから、彼氏ゲットよ」
「ちっち、わかってるの!?」
「わかってるのって言われても」
 首を捻るばかりでした。何が何なのか。
「そんなこと言われても」
「何度でも言うわよ」
「わかってないんだから」
 今度はわかってないそうです。
「教会の跡取り娘がこれだと」
「御両親も大変ね」
「何でそう言われるの?関係ない話じゃない」
 私にはそうとしか思えません。確かに私は三人姉妹の長女で将来旦那様に来てもらって教会を継ぐことになっていますけれど。何でこんなこと言われるんでしょうか。
「それって」
「それに気付かないのが駄目なのよ」
「そうよ。ただし」
「ただし?」
 また話が変な方向にいっちゃっています。
「そういうことをしていいのは一人に対してだけ」
「わかるわね」

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