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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
1-2 彼の名は
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。ちゃんと話すつもりだったが、きっかけがなかなかつかめなくてよ」
「このことは、カンナたちも知っているのですか?」
「いや、あいつらにも知らせていねぇ。知ってるのはここにいる全員と、『あやめ』君だけだ」
マリアからの問いに米田は首を横に振る。他にも何人か、彼女たちの仲間に当たる人物がいるようだ。
「あやめさんもご存知だったのですか!?」
一方で、自分が『ジン』と名を呼ばれた少年は、困惑した様子だった。
「『ジン』…?それが僕の、名前…?」
ジン…自分の名前らしき言葉を教えてもらったまではよかったのだが、それが自分の名前だという事さえも、少年は実感が沸いて来なかった。
「ジン、無理に思い出そうとすんな。頭に響いちまうぞ」
「支配人、もしかして彼は…」
マリアがジンを見ながら、一つの確信を抱く。さっき彼を始めてみたときもそうだったが、間違いないだろう。
「ああ…だろうな」
米田も、気を落とした様子で頷いた。あの米田をここまで落ち込ませる、それほどショックだったことが伺える。
「支配人、この殿方どうなされたというのです?」
すみれはジンの様子に困惑した様子を見せた。
「…見えない」
アイリスがジンを見て、答えを口にした。
「見えない?アイリス、わかりやすく言って頂戴」
「このおにいちゃんから…なんにも見えないの。何もかもが、すっぽり抜けている」
「やはり…」
マリアは納得したように呟いた。
「すみれ、彼には…記憶がないのよ」
「記憶がない…記憶喪失、ということですの?」
「ええ。アイリスもそう言ったのなら、間違いないわ」
記憶喪失、言葉で聞いたことくらいはあっても、実際にこうして発症した人間を見ることになるとは思わなかったことだろう。
「でも、記憶がないのなら、この帝劇におくよりも、病院に入院させておくべきだと思うのですが」
「いや、俺はこいつをこの帝劇に置いておきてぇ。俺は義理とはいえ、こいつの親父であることを決めたんだ。息子の面倒を見るのは、親として当然のことだ。お前らをこうしてこの帝劇においているようにな」
マリアからの勧めを断り、自分の固い決意を明かした米田の目に、ためらいも迷いもなかった。
だが、すみれが反対意見を出してきた。
「支配人、私たちは帝国歌劇団、つまりお客様に部隊を見てもらうための存在ですわ!マリアさんの仰るとおり、病院で診てもらうべきでなくて?」
すみれの言うとおりだ。いくら我が子が記憶喪失とはいえ、ここは医療機関ではなく劇場だ。専門医のいる病院で診てもらった方が、邪魔にならないし彼の回復だって早いはずだ。
しかし、米田は首を横にふり、決してこいつをここから引き離すつもりがないことを視線のみでアピールした。
「…てこでも動くつもりはないということですのね」
米田をここまで意固
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