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大統領の日常
本編
第四十四話
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西暦2115年 11月 14日

「っ!・・閣下!ここのままでは艦隊が壊滅します!一時後退なされてはっ!?」
第三独立艦隊参謀長のオーリック・エルゲン准将は、彼が乗る旗艦ケーニッヒ・ティーゲルのすぐ横にいた味方艦が爆沈した直後に、上官に6度目の意見具申を行っていた。
現在第三独立艦隊は、ミレーニアス軍の中央部に大きく切り込んだ状態であり、逆に半包囲の危機に陥っていた。
「・・・・」
それを彼の上官であるビッテンフェルトは無言で聞きいていた。唯一今までの5回と違うのは、無言ではあるものの、目を閉じて考えている姿でいることだろう。
これを見たエルゲンはあと一押しだと思い続けた。
「仮に我々が全滅したら、誰が大統領をお守りするのですか!」


「・・・・・全艦・・後退っ・・・」
大統領という言葉に反応したビッテンフェルトは、こぶしを震わせ、歯を食いしばりながら後退を命令した。

18時40分、ようやく後退を開始した第三独立艦隊だったが、すでにミレーニアス軍に大きく切り込んでいたため、後退するのには時間を要した。しかし、ここで勝ち逃げさせるかとばかりにミレーニアス軍が反撃に出た。

「敵艦隊反撃してきます!」
「右翼部隊の被害甚大!既に一部で突破されています!」
「本体から戦艦と巡洋艦を1個戦隊を送れ!戦線を維持させろ!」
「しかし、閣下!既に本体には最低限の護衛部隊しかおりません!」
「ではその護衛部隊から割けばいいだろう!」
「しかし、それでは旗艦の守りがっ・・」
「かまわん!
第三独立艦隊は、守勢に弱いという弱点をさらけ出し、一気に崩壊するかと思われた。

「潰走してくる艦を集結させ、敵の左翼を攻撃せよ。左翼の動きが止まったら次は右翼だ。」
「はっ」
しかし、後方でそれを見ていたハイドリヒが潰走する艦をまとめて、左翼から迫る艦隊の先端にピンポイント攻撃を加えて進撃を一時的に止めさせた。
左翼を担当していた部隊の手が空いたことで、右翼から迫る艦隊も後退しているとはいえロンディバルト軍最強の打撃力を誇る第三独立艦隊の攻撃を耐えられるはずはなく、後退を余儀なくさせられた。
両翼が一時進撃を停止したことで、前方だけに集中できることとなった第三独立艦隊はその打撃力を思う存分中央にいる本体に叩きつけた。

「大都督、両翼の進撃が止まったせいで本体に砲火が集中しております」
「かまわん、ひたすら前進して砲撃せよ。数ではこちらが勝っているのだ」
「御意」

既に50隻をわずかに超えるほどしかない第三独立艦隊は、ソ連並みの人海戦術の前には対抗することはかなわず、40分ほど本体に砲撃を集中させた後、再び全速で後退した。この時には両翼が復帰し始めていたため、再び半包囲される危険があったからでもある。



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