4部分:第四章
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第四章
「だったら」
「そうそう、まずは焦らずにね」
微笑んでシッドに告げた。
「焦ったらそれで終わりだからね」
「ゆっくりとですね」
「昼寝でも入れてね」
この辺りは実にラテンらしい言葉だった。
「それじゃあまずはどうやって行くか、それに何が必要かをね」
「考えて計画していってですね」
「そういうこと。いいね」
「はい、それじゃあ」
こうしてまずはその計画から進めるのだった。その間も実に楽しいものだった。彼等、特にポンスはその間も笑顔で幸福を感じていた。
そうしてだった。出発の時にだ。シッドは笑顔で彼に告げてきた。
「それじゃあ今からですけれど」
「うん」
「今度こそ見つけましょう」
はじまる今からもう朗らかな笑顔であった。
「エル=ドラードを」
「そうしようか。幻の黄金郷をね」
「見つけたら大騒ぎになりますね」
旅立つ前の言葉である。
「もうね。それだけで」
「ははは、そうだね」
シッドのその言葉に笑うポンスだった。
「世界中で大騒ぎになるよ」
「伝説が今発見されたって」
「うん。長年の夢が見つかるんだ」
「それだけですね」
ここでふとこんなことも尋ねてきたシッドだった。
「私達は」
「それ以外に特にいらないよね」
「はい」
まさにそれだけなのだった。二人にとっては。
「世界中から騒がれても歴史に名前が残っても」
「そんなのはどうでもいいんだよ」
シッドだけでなくポンスも言うのだった。彼等にしてみればそうした名声というものはどうでもよかった。当然富もである。そういったものにも興味がなかった。
「見つけたらそれだけでね」
「はい、それだけですね」
「じゃあ行こう」
ポンスから声をかけた。
「黄金郷にね」
「はい、わかりました」
こうしてまた旅立った二人だった。
遥かなアンデスの山を幾つも越えていく。これはいつもの通りだった。
その無数の山々を越えながらだ。二人はまた話をした。登山の格好で見下ろすアンデスは確かに美しい。青い空をコンドルが飛んでいるのが見える。
「ねえシッド君」
「どうしたんですか?」
「いや、凄いよね」
その眼下に広がる霞がかかった何処までも連なる山々を見て言うのだった。
「何時見てもね。この景色はね」
「はい、空もですね」
「うん」
上を見上げるとそこにはまだコンドルが飛んでいる。それも見るのだった。
「青くて何処までも澄んでいて」
「山を歩くのは疲れますけれど景色はいいですよね」
「そうなんだよね。いつも歩いているけれど」
「いいですよね」
「見ているだけでも満足できるよ」
こう述べるのだった。
「景色だけでもね」
「満足できます?教授も」
「あっ、君もなんだ」
「はい、そ
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