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東方乖離譚 ─『The infinity Eden』─
episode3:掛かったなHがッ!
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「よし、全員居るな!?」

「慧音先生っ!ヒメノちゃんがぁ!」

「分かっている!そちらには巫女が向かった!」

 人里には、東西南北の外周にそれぞれ一つと、中心に一つ、龍神像が設置されている。
 人里の守り神──幻想郷の創造神ともされる龍神は、妖怪を寄せ付けないと伝えられている。その伝承からとある提案があったのが数年前。『龍神様の御利益に預かって、妖怪が攻め入って来た時に逃げ込める避難所を作ろう』
 ──初めこそ罰当たりだと文句を言われもしたが、正直提案者には感謝しても仕切れないだろう。でなければ今頃、人々は中央の広間でガタガタと震える事しか出来なかっただろうからだ。
 龍神像の数に応じ、避難所も5箇所。一番しっかりとしているのはやはり中心の避難所だが、不運にも今頃そこは巫女と妖怪の戦場だ。
 とはいってもここの頑丈さも中々のもので、幻想郷の管理者である八雲紫の協力もあって、大妖怪の攻撃だろうと数時間なら耐え切れる程の堅牢さだ。中心部ともなれば恐らく、大妖怪でも破壊は難しいだろう

 構造自体は簡素で、地下に掘り進められて空いた大穴を更に広げ、木材で枠組みを作り、貴重ではあるが金属類も惜しみなく使っている。壁に埋め込まれた退魔の札も半永久的に効果を発揮しており、その上八雲紫の結界がガチガチに全体を防護している。非常に心強い場所だ。
 ──が、すべてに満足かと言えばそうでもなく、陽の光が届かない事もあって全体的に暗く、人々の不安を煽るような状態なのが唯一の欠点だ。まあそれもメリットに比べれば霞むのだが。

「先生……!息子が、息子が居ないんです!さっきまで隣に居たのに!」

「糞っ、はぐれたか……っ!待っていてください、直ぐに私が……!」

「無茶だ先生!アンタ一人で外に出るつもりか!?外には妖怪どもが彷徨いてるんだぞ!?」

「では、見捨てろとでも言うのかッ!」

 糞、ダメだ。頭に血が上っている。落ち着け、落ち着け。上白沢慧音。お前は人里の守護者だろう。狼狽えるな。冷静で居ろ。お前が居なければ誰が指揮を執る。最善策を──


 ドガァァァァァァァッン!!


「うあ"ぁぁぁあぁぁぁあああっ!」

「嫌あぁあっ!」

 ──糞っ、糞ッ!落ち着け、落ち着けと言っているだろう!これは明らかにスペルカードルールに反する異変だ、巫女と賢者が黙っていない筈。
 と、不意に周囲から霊力のようなモノが感じられる。恐らくは巫女が何らかの結界を張ったのだろう。恐らく今は地上は安全……な、筈だ。

 避難所を走り回って自警団の内でも高い地位の男を見つけると、全指揮権を渡して外へと飛び出す。制止の声も振り切って扉を閉じると、空へと飛び立つ。

「これは……!」

 人里をすっぽりと覆う結界が張られ
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