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RSリベリオン・セイヴァ―
第十二話「貴公子、暴かれる」
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――ん? シャルル……
放課後。寮の通路を歩いている俺は、トイレの前でソワソワしているシャルルを見ていた。
女子トイレの隣にある男子トイレ、それは一夏や俺たちの出現によってIS委員会がしぶしぶ金を出して作らせた男子トイレだ。
「シャルル、どうしたんだ?」
俺は、彼の元へ歩み寄ってふと尋ねる。
「あ、狼……?」
「男子トイレに和式とかはないぞ?」
外人だから、しゃがんで用を足す習慣はないだろう。まぁ、IS学園にはイギリスや中国などから来た生徒もいるため、男女のトイレは全て洋式だ。
「ううん? そういう意味じゃなくって……」
何やらモジモジしながら顔を赤くしている。さっきから何なんだ?
「あ、あの……実は、今まで個室用のトイレしか使ったことなくって……」
「え、えぇっ!?」
流石に驚いた。じゃあ、学校とかではどうしてたんだ? いや……過保護ゆえに大金払って家庭教師とか雇ってたんだろ? じゃあ……外出とか一切禁止? そこまで行ったら、もろ鳥籠っていうか……お城の中のお姫様? いや、王子様ってやつだな?
「そ、そうか……」
俺は苦笑いを浮かべて彼女に尋ねた。
「そういや、もう寮の部屋には行ったか?」
「それが……いっぱい部屋があって、探すのに時間がかかってさ? 探している途中でトイレに行きたくなって……」
「そうか……なら、寮の部屋なら個室のトイレがある。何なら一緒に探そう、我慢できるか?」
「あ、ありがとう!」
「よし、じゃあ行こうぜ?」
俺は、シャルルを連れて彼が探す部屋の番号が書かれたプレートを探し出した。
「……あれだな?」
俺とシャルルは、探していた番号札のプレートが書かれた部屋を見つけ出した。この部屋ならここからそう遠くはないな? しかし……
「しかし……相方は誰だ? 俺と一夏に清二や太智……シャルルを加えたら奇数になるからな?  どうするつもりなんだろ?」
「……ほら、ラルフっていう人が来たじゃない?」
「ラルフ……ああ、確かにもう一人いたな?」
「僕のルームメイトは、そのラルフさんだよ?」
授業中に乱入のごとく現れた、ラルフ・ヴィンセクトだ。ああいう登場だったから加わっていた事も忘れていた。しかし……
――何だか、あのラルフってのは妙につき合いづらそうだな?
一見、悪い奴に見えないが……どことなく油断させない雰囲気を漂わせてくる。今後は、下手に口を滑らせない方がよさそうだ。
「……トイレはシャワールームの隣な?」
「うん、ありがとう!」
俺は彼女と部屋の前で別れようとするとき、まるで見計らっていたかのように部屋の扉が開いてシャルルの後ろから例の美青年が現れた。
「やぁ? 狼君、いらっしゃい……あ、シャルル君も?」
ラルフは、俺を歓迎するなり目の前に立つ小柄なシャルルにも気付いた。

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