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自作即興・短編小説まとめ
セカンドライフ
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完全な機械の方が、殆ど完璧な人間より面白いからだ。

“2110”記憶の消去が出来る事と、地球が完全にコンテンツ化した事を表す絵。宇宙と地球とパズルのピースが欠けていくような絵だ。人間が二回目の人生を歩む事が可能になった。普及後は様々なところで支障が出たようだが、社会に対して影響はなかった。本当に何もなくなった。会社もなければ固定された仕事というのも無い。だが一応宇宙の外に対する問題はまだあるが、それももう人類で謎解きをするようなその程度のコンテンツなった。地球は記憶を失くした、あるいはねつ造した人間を人工知能とのリンクを切って、架空の生物を本当に作り上げ、そこでリアルなRPGを行ったりする、本当にただのゲームを行うための舞台となった。東京もわざわざ21世紀だったりと、過去の様相に作られている。ちなみに記憶が消えてもセーブされているので、再生させることは簡単だ。死ぬことはもう、無い。自分から綺麗に準備する以外、絶対に無い。

“2117”テレビのカラーバー画面だ。絵とは少し違っている。広大な宇宙はまだまだ興味深いのか、人間や機械はただ探索を行い続けた。本当にこの世の殆どがゲームみたいなものだった。三次元に生きる人もいるし、わざわざ仮想の空間で楽しむ人も居る。空間も何も、殆どの境界はあいまいだ。出来ない事はない。不自由はない。とても広い世界。今まで縛られていると嘆いていた人は恐らくこの空間をとても楽しんでいるはずだ。何をしたって死ぬ事が無いのだから、何も怖くないのだ。人殺しすら出来ないだろう。

“2125”すんごく昔のファミコンと呼ばれるゲーム機の画面。確かこの時だったか、プレイヤーキャラとして仮想空間で戦った。とても不自由に感じたが、その中で自由になっていく過程がとても面白かった。もう絶対的に勝てないと思うような時に仲間が助けてくれるとか、共有する事が楽しかった。それを皮切りに、現実世界でのゲームも楽しむことになった。死ぬかと思うなんてとっても懐かしい感情だった。一体どれほど忘れていたか。この体験を話す事も楽しかった。その内に自分がゲームを作ったこともあった。マイナス評価は本当につらかった。無限の知識が全員にある訳だ、面白みは本当に全てを決めている。もう大変、高クオリティな作品に勝つのは本当に大変だ。

そろそろいいなって思い始めた。通路の壁にある絵はあと10枚ほどだが、全て無視するように扉を開けた。

「おう、お帰りなさい」白衣の人が言った。
「そろそろ記憶を消します、準備はいいですか?」俺は構いませんと答えた。
電子音がカウントを告げている。もう少しで俺は死ぬ。
この百年をすべて忘れて、もう一度人生を歩み始める。

さようなら、俺。
はじめまして、私。

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