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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二四幕 「姫様は宇宙海賊」
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 セシリア・オルコットは考える。

 敵は先ほどから正体不明の射撃を仕掛けてくるが、その居場所は一向に掴めない。つまり客観的に見てセシリアは非常に不利な状況下にあると言える。

 だが、逆にそこを考える事で敵の思考を読めないだろうか。
 まず、もしも敵が完全ステルス装備やそれに類する能力を搭載した機体だった場合、ちまちま狙撃などするだろうか――否。こちらが武装を積んでいないことなど予想済みだろうから、大量の高速ミサイルや連射力の高い武器で押し込んだほうが勝率は高い。いや、それどころか旋回性に劣るメアリ号相手なら接近戦で十分に対応できる。なのに態々狙撃という隠密性の高い方法を取ったからには、それなりの合理的理由がある筈だ。

「………熱」
『ほへ?熱がどうしたんですか?』
「銃を使った攻撃ならば、撃てば撃つほど銃身に熱が籠る。ならば先ほどから間を開けて銃弾を叩きこんでくるのは銃身に籠った熱で探知されないため……?」
『お姉さま、それはちょっと考えにくいです。ISの熱源センサは優秀ですから銃身が熱を持っていれば直ぐに探知できる筈です。それに……そもそも銃を撃ったのなら反動で銃身が跳ね上がり、動体反応が検知される……ホンット、何を使って攻撃してきてるんでしょう』


 ――……………――


「っ、ええい!」

 今までより弱い意志が宇宙を伝播し、その滓かな感覚に従ってセシリアがまた動く。先ほどと違って曖昧なイメージだったため、攻撃を掴みきれずに大きく回避行動を取り――刹那、また伝播。


 ――かかった、今度こそ……――


「なっ、ひっかけられた!?一零停止……っ!!」

 今までの加速を無理やり停止させた瞬間、クイーン・メアリ号の船首近くを何かが高速で通り抜ける。これがPIC未搭載機なら確実に船体に直撃していたろう。肝が冷えると同時に、何が起きたのかを悟る。

「最初の一発は牽制で、今のは本命か……こちらが何らかの方法で攻撃の前兆を捉えていることを悟って戦法を変えてきた?」
『ちいっ、嫌になるほど冷静な判断だな……焦って出鱈目には撃って来ない、機械的な行動だ』
『……そうでしょうか?段々と攻撃のスパンが短くなっています。もしかしたら焦りもあるかもしれませんよ!ふふふお姉さまをナメてかかるからそうなるのですバーカバーカ!』
「しかし、そのバカの使っている反動と熱のない銃の正体をわたくし達は掴めていない訳ですが」
『ガガーン!!そういえばそうでした……つららは馬鹿以下です……』
『うーむ……反動のない銃ねぇ………ジャイロジェット・ピストルとか?』
「ジャイロジェット・ピストル?何ですかその妙に長い名前の銃は?」

 聞き慣れないピストルの名前に思わず聞き返した。IS界隈では銃器を扱うこ
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