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呼んで欲しくない者 
第二章

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「神や他の天使達についていけなくなった」
「考え方の相違」
「それによって」
「だから我等は天界を出てだ」
「そのうえでこの地下に入り」
「魔界を築きましたな」
「我等の思想、美意識、倫理に基づいてな」
 家臣達に言う。
「そうした、だからな」
「我等もです」
「悪魔ですが」
「近頃の人間達は悪ではない」
「そのことに気付きだしていますな」
「むしろ気付いておると言うべきか」
 アスモデウスはその三つの頭の顔をそれぞれ顰めさせて言った。
「厄介なことにな、特にな」
「はい、あの国ですな」
「あの国の者達ですな」
「あの国の者達ときたら」
「我等を悪どころかです」
「これもまた正義と完全にみなして」
「怖がりもせず」
「魔界も何も恐れませぬ」
 全く、というのだ。家臣達も。
「厄介ですな」
「それも非常に」
「最近の人間達に召喚されて務めをしても昔程面白くありませぬが」
「あの国の者達は特にです」
「面白くありませぬ」
「悪魔が何だ、ですから」
「主張の一つに過ぎぬ、ですから」
 家臣達もだ、それぞれうんざりとした顔で言った。
「困ったことに」
「そして一番召喚してくる数が多いです」
「魂を手に入れていますが」
「それでも」
「あの国の者達の魂は最近多いが」
 また言ったアスモデウスだった。
「魔界を楽しんでおる」
「昔の領民達は堕ちたと恥ながらも次第に染まっていき」
「我等の正義に」
「そして馴染んでいっていました」
「それを見るのが楽しかったのですが」
「最近の人間達はそうではなく」
「特にあの国の者達はです」
 彼等はというのだ。
「最初から馴染んでいるどころかわかっていて」
「魔界にむしろ嬉々と入ってです」
「楽しんでいます」
「全く以て面白くありませぬ」
「まことにな。余にしてもだ」
 アスモデウスは己の玉座から実際に極めて面白くなさそうに述べた。
「人間共が堕落したと思いながら魔界に入るのが見ていてよかったが」
「それでもですな」
「近頃はそうではなく」
「特にあの国の者達は面白くない」
「非常に、ですな」
「やれやれだ。むっ」
 ここでだ、アスモデウスは。 
 不機嫌な顔からだ、急に気付いた様な顔になってだ、家臣達に言った。
「その召喚だ」
「ご主人様に、ですか」
「ここで」
「うむ、しかもだ」
 気付いてだ、そのうえでだった。
 彼はまた不機嫌な顔になってだ、家臣達にこうも言った。
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