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黒猫が撃つ!
五弾 眠り姫とメッセージと……
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つ人に見せるように言われていたものよ」

XIIIの刻印。
その単語に俺の胸の血流は、ドク、ドクと激しく高まった。
もしかして? いや、そんなはずは……俺の胸中を戸惑いや得体の知れない不安が覆う。
馬鹿な、ありえねえ!
そういった思いが何度も喉から出かかったが、画面に映り出したソレを見た瞬間に、その危惧や不安が現実のものだという事を思い知らされた。

『久しぶりよのう、黒き猫よ……』









誰もいない夜の病棟を歩くのは何とも寂しい気分になる。
面会時刻はとっくに終わっているが同じ教職に就くものとして、この病棟に隔離されているとある少女の主治医に話しをつけているおかげか、途中ですれ違う看護師や医師達からは特に不審に思われずに堂々と長い廊下を歩いていける。
病状の彼女の安全を守るという面においてはいささか不安になるが、それでもこの病院以上に彼女の身を安全して任せられる場所なんてないだろう。
ここを強襲しようとする輩はほとんどいないだろうからな。
何故ならここは普通の一般的な病院ではなく、武装職、それも武装探偵を育成している総合教育機関の武偵高に隣接して建てられている武装職御用達の病院だからな。
病院関係者の中に武装職がいれば、好き好んでここを襲おうなんて考える馬鹿はいないだろうしな。
仮にいたとしたら何も知らないただの馬鹿か、あるいは腕に覚えがある本物の強者か。

「っと、ここだったな。
ごほん……」

トントン、とノックをしてから病室に足を踏み入れる。
これがトレインなら何も言わずに戸を開いて入りそうだが紳士な俺はちゃんと手順を踏んでから入る。

「イヴ、俺だ。入るぞ!」

声をかけてしばらく待ってから戸を開ける。
当たり前な行為だが、これを如何にして当たり前に出来るかで紳士としてやっていけるか違いがでる。
まあ、声をかけても残念ながら中から返事が返ってきた事は今だにないんだけどな。

「よお、イヴ。
今日もいい一日だったか。
今日は面白そうな本を借りてきたぞー」

トレインより先に学校に行っている俺の日常として、最近は放課後に図書室に行くという日課が出来た。
行く理由としてトレインの身体を元に戻す方法を調べるという理由もあるが、大半は目の前のベッドに横たわる少女を治す知識を調べるという理由の方が大きい。
武装職を育成するだけあって、銃器関係や体術、戦略関係の蔵書が多い学校の図書室においても、残念ながらナノマシンに関する有力な情報は今だに得られていない。
軍事関係者にかたっぱしから当たるか、それこそティアーユみたいな時代を超えた天才を見つけ出して研究させるか、公安のいう通りに夏の大掃除に参加するかくらいしか有効な手がかりはないのが現状だ。

「ほれ、今日
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