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姉ちゃんは艦娘
2.姉ちゃんはよく食べた
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“比叡”ねぇ……そんな人の捜索願なんて出てないし、第一人の名前なの?』
「ですよねぇ……?」
『警察にイタズラ電話なんかしちゃダメだよ? まったく……』

比叡さんがお風呂に入って冷えた身体を温めているうちに、ぼくは警察に連絡して、“比叡”という人の捜索願が出てないかどうか確認してみたが、やはりというか何というか、イタズラと思われてしまった。まず第一に人の名前として“比叡”っておかしいもんねぇ……。

「どうだった?」

僕が警察への電話が終わったのを見計らって、夕食の準備をしている母さんが台所からそう呼びかけてきた。僕は無言で首を横に振り、否定の意を返した。

「まぁそうよねぇ……」
「人の名前で“比叡”だなんて聞いたことないもんね……ウソついてるのかな?」
「それはないと思うよ。あの子、ウソついてるようには見えないし。母さんには」

それに関しては同感だ。まだ出会って一時間ぐらいしか経ってないけど、あの人ほど考えていることが分かりやすい人は見たことない。比叡さんはきっとウソをつこうとしてもつけないタイプだろうと思う。

「まぁとりあえずどうするかは比叡ちゃん本人も交えて話そうか〜」

母さんがそう言い終わるか終わらないかの時、浴室に続く洗面所のドアが開き、首にタオルをかけてホクホク顔の比叡さんが出てきた。温まったせいなのか、ほっぺたがほんのり赤くなっており、体中から湯気が漂っている。

「ほぁあ〜気持ちよかったぁあ〜……比叡、入渠完了しましたぁ〜……」

比叡さんは今、あの傷んだ巫女服のコスプレの代わりに、僕のTシャツを着て、短パンを履いている。下着をどうしたかは僕は知らない。知らない。うん。知らない。考えてもいない。ホントに。意外と胸大きいなぁとか考えてない。うん。考えてない。

 夕食は母さんの得意料理のハンバーグ。お客さんに食べてもらうということで、母さんも気合いを入れたようだ。比叡さんは自身の目の前にハンバーグが並べられた途端、大好きなものを目の前に置かれた五歳児のように目を輝かせ、よだれをたらしそうな勢いで口を開いている。さっきから地響きにも似た腹の虫の音が、食堂に鳴り響いている。

「はぁぁあああああ……美味しそう」
「遠慮しないで食べてね?」
「はい! 気合! 入れて!! いただきます!!!」

比叡さんは手を勢い良くパシンと合わせてそう言い放つやいなや、左手にご飯茶碗を持ち、ものすごい勢いでハンバーグとご飯を平らげ始めた。神社で会った時にはすでに空腹だったはずだから、今は比叡さん相当お腹が空いてるんだろうなぁ。

「美味しいです!!  お母様、とてもとても美味しいです!! ホウショウさんと同じぐらい美味しいです!!」

比叡さんはそう言いながら、もっしゃもっしゃとご飯を口
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