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リリなのinボクらの太陽サーガ
消失
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か、そのどちらかが吸収されれば、もう片方は吸収されずに済む。

私は自分の手の先を見ると、そこには小さな命があった……。その命を見捨てて生き残ったら、きっと後悔する人生が待ち受けている。でも死ぬも同然の状況に陥るのは怖いし、もう嫌だ……。うん、嫌だけど……あえてポジティブに考えよう。死んだらサバタさんの所に行ける、彼の傍にいられるならそれも悪くないかもしれない……などと強引に思い込んで、私は勇気を振り絞った。そして……小さな命を未来へ投げた。

「え!? ま、待って!!」

『そんな……シャロン!!』

「ごめんね、マキナ。私はこの選択をするから……マキナはマキナの選択をして!!」

『い、イヤだ!! 行かないで、シャロォォォンッ!!!!!!』

私の代わりにはやてが助かったのを見届けて、私はマキナが必死に手を伸ばす光景を最後に……異次元空間に吸い込まれた。直後、私を吸い込んだ事で、穴はすぐに収束して閉じていった。

禍々しい色彩の空間で宙に浮く感覚の中、私は静かに目を閉じた。これで良かったのだと思って……私の代わりに彼女達が未来を守ってくれると信じて……。

何も無い……出口すらも無い暗黒の空間。そこで私は死ぬまで永遠に漂い、そして朽ちていくのだと頭の中で理解した。自分でこの選択をしたのだから、後悔は無いと思い込んでいた。だけど時間が経つごとに……私の中に恐怖が芽生えてきた。
もう誰にも会えない、誰の声も聞けない。かと言って私が歌っても誰も聞いてくれない、誰も……褒めてくれない。生きてても何も出来なくて、死んでも何も残せない……。アクーナの時とは比較にならない孤独の中、私は永遠に一人ぼっちのまま、死んでいくのだと……周りの空間が私にそう言ってきていた。

……………嫌だ、やっぱりこんな所で死にたくない! 誰か……お願いだから私を見つけて……! まだ私は……生きていたいよ!!

『なら叫べ、シャロン! あの言葉を……死を乗り越えて生きる意思を!!』

え……サバタさんの声? いや、これは私の恐怖が生み出した幻聴かもしれない。今更何をした所で、もう私の運命は決まっててどうにもならないのかもしれない。だけど……本当に彼なら、私はどこまでも信じられる。だって……私も彼を愛しているのだから。

サバタさんから学んだ言葉、それはあの言葉以外にあり得ない。私は手を掲げて、あらん限りの意思を込めて叫ぶ!

「私の想い、世界に届けて!“ボクらの太陽”!!」

次の瞬間、私の身体を真っ黒な何かが飲み込んでいった。だけどこれはさっきまで居た心を折ってくる異次元空間のと違って、むしろ母親のような優しさがある温かい暗黒だった。

『消えかけの俺に出来るのはここまでだ。後は……アイツらに……』

「サバタさん……最後ま
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