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SAO−銀ノ月−
第八十九話
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く。それでも……正直、あのリーベの現実がどういう人物か気にならない、と言えば嘘になる。出来ることならば、顔をつきあわせて話すこともしたかった――あのSAO失敗者と。


 ……最後に彼女が言った言葉の中に含まれていた、『助けて』という言葉が嘘でないのならば。

「……愚痴に付き合わせちゃって悪かった。東北旅行、行きたかったんじゃないか?」

「旅行って雰囲気じゃないし……それでも、あの二人に割って入る勇気はないわよー」

 里香が肩をすくめながら苦笑するのに、確かにその通りだ――などと思いつつ。先日、シノンより一足先に警察からの取り調べが終わったキリトは、明日奈を連れ添ってどこかへ向かっていった。シノンに関わることらしいが、俺はその件に関わることはなく……里香とともに学校に来ていた。何やらシノンについて話したいことがあったようだが、深刻な話なら必要以上にもらす必要はないだろう、という俺の言葉に、キリトはしぶしぶ納得しながらも。

「昨日帰ってきたんだっけ?」

「ああ。何がかは知らないけど上手くいったって。で、今日はALOに誘ってみるってさ」

 あのシノンが妖精の世界に興味を持つかは分からないが――と、心中で小さく呟くと、その言葉を聞いた里香が突如として机に身を乗り出した。

「あたしたちの装備、まだ直してない……!」

 そう愕然とする里香に一瞬理解が遅れた後、そういえば、と思いだす。確か里香たちでクエストに行った結果、防具に多大なダメージを受けてマント生活だとか何とか、GGOの本戦前に会った時に言っていた。それも、酸で穴が空いたような状態だとか何とか。

「……それじゃダメなのか?」

「ダ、メ、よっ!」

 せっかく新しく友達になれるかもしれないのに、マント姿じゃかっこつかないじゃない――と、力強く否定した後に里香の台詞はそう続いていく。

「あんただって当事者になったら、絶対直しにいくでしょ? どうでもいいーみたいな素振りしといて、実のところかっこつけなんだから」

「…………」

 彼女から評された一条翔希という人物評に、反論の言葉一つどころかぐうの音も出ない。内心かっこつけで悪かったな――と思っていると、里香は自らのポケットから携帯端末を取り出していた。

「さっさと直しにいかないとねぇ……じゃあ翔希。そういうわけで今日はALO集合、ってことで!」

 同じく装備を破損していた珪子と直葉に連絡を取っているのだろう、里香は高速で端末をタッチしている。……確かに久々にALOにいきたい気はするものの、女性陣の装備の整理に付き合う、というのは新手の拷問か何かか。

「俺もか?」

「あら。翔希が約束を破ったせいでこうなったんだから、もちろんよ?」

「む」

 冗談め
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