暁 〜小説投稿サイト〜
とある星の力を使いし者
第157話
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
両手が杭の呪縛で封じられて動かせないはずだ。
なのに、麻生の両手は何事も無いように動き自分の顔を掴んでいるバルドの手を掴む。

「ッ!?」

息を呑んだ。
自分の手から何かが来ると、と直感したバルドはすぐさま麻生の手を払って距離をとる。
麻生の魂に干渉して星の真理を知る一歩手前まで来た。
それなのに誰かに邪魔をされた。
バルドはその時に聞こえた声と顔を知っている。
頭の中で疑問が膨れ上がる。
今の麻生はバルドの魔術により手足がまともに使う事はできない。
しかし、今は両手は力なく下がっていて足も弱々しい雰囲気を感じるが確かに立っている。
何より、麻生が掴んだバルドの手には星の力を送り込まれた。
バルドにとって星の力は身体を蝕む猛毒の様なもの。
自分の手を確認すると真っ白になっていて崩れかけている。
あのままもう少し手を払うのが遅かったら浸食は身体の半分はいっていたと、バルドは考える。
真っ白になった手を切断すると、切断面から肉を練り込むような音と同時に新しい手が生えてくる。
その調子を確かめながら麻生に視線を送る。
さっきような余裕は感じられない。
むしろ、今の麻生に警戒をしている。
その時だった。
手足を貫いていた杭が音を立てて木端微塵に砕け散った。
麻生は身じろぎ一つしていない。
杭が勝手に砕けたように見えた。
この男は本当に麻生恭介か?
バルドはそう思わざるを得ない。
あの杭は今の麻生恭介の力では破壊する事はできない。
今までの部下の報告や戦闘レベルを把握して作った。
なのに破壊された。
疑問がさらに膨れ上がるが次の瞬間、疑問が解消される。
少し俯いている麻生の顔が上がり麻生の視線とバルドの視線がぶつかり合う。
目を合わせた瞬間だった。
白昼夢のような現象がバルドを襲った。
フラッシュバックのように昔の記憶を思い出す。
それは封印した過去。
バルドにとってある条件の元に復活するように封じ込めた記憶。
疑問が確信へと変わる。
バルドは今までにないくらいの笑顔を浮かべ、両手を広げる。
まるでようやく再開した恋人を向かい入れるような、そんな感じだ。

「ようやく・・・・」

その言葉を発しながら噛み締める。

「ようやく、再会できたな。
初代(・・)星の守護者、ユウナッ!!」

バルドは大きな声をあげて麻生に言い放つ。
確かにその場にいるのは麻生恭介だ。
見た目も服装も何一つ外見は変わっていない。
バルドの言葉を全く気にすることなく、『麻生』は背中を向ける。
足の向かう先は気絶している愛穂と何とか血を止めようとしている桔梗の所だ。
その背中は隙があったがバルドは無視している。
再開をしたことで心から溢れる感激に身を委ねている。
『麻生』が近づいて
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ