暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第73話 ホッホ峡の決戦U
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だな。やつら、慌てふためいておるわ。がははは!」

 見物するのは、ランス。

 チューリップ3号の傍にいるのは、志津香やユーリ、そしてマリア、搭乗している香澄。そして、チューリップの砲撃範囲に入らない様に散開しつつ、殲滅していく。

「ランス様、それは?」
「マリアの試作品だ。主砲の狙いをつけるために作った双眼鏡みたいなものらしい。昼間だろうと、夜間だろうと、ばっちり見えるのだ。つまり、ユーリのガキがサボってないか、チェックするのに持って来いなのだ!」

 まだ、さっきの事(前話:フェリスへの命令)で怒っているのだろうか? ランスはユーリに対して一番ダメージのいく暴言を言っていた。

 恐らく、今くしゃみをしているだろう……。

「……はぁ、さっきから あの戦車(チューリップ)に近づこうとする連中を片っ端からすっ飛ばして、ぶっ飛ばしてるし。あの戦車より……、とはいかないけど、殆ど無双してるのは、どこの誰だ?」
「うるさいぞ! それでも、しっかりと下僕を監督するのが、優秀なご主人様と言うものだ!!」

 フェリスは、大鎌担いで、ため息しながら 眼下の戦いを見てそう言う。ランスも勿論判っている。だが、ユーリにも言える事だが、互いに長い付き合いだから、判っているのだ。

 そして、近接戦闘主体と言える戦士が、剣士が、なぜ この場面で、遠距離戦で 魔法使いやチューリップ砲撃部隊よりも活躍するのかが正直おかしいのだ。遠目から見ても、霞む程の剣の速さから繰り出される鎌風に似た斬撃は、真空の刃。
 ヘルマン軍のその堅牢な黒鎧をいとも容易く斬り飛ばすから、近くにいても遠くにいても同じ事の様だ。……あれを止めるのは、同等クラスの剣技、いや、少なくとも飛ぶ斬撃の太刀筋を見極めた防御が必要だろう。

 ランスの筋違いな発言は置いといたとしても、ユーリの力の強さには やはり 舌を巻くと言うものだ。
 
 ……完全に力を取り戻した状態の自分。第六階級の悪魔の力をもってしたとしても……、と何処かで考えてしまうフェリス。



――……人間なんかに。



 と、出会った当初のフェリスであれば、悪魔としてプライドを強く持っているフェリスであれは、そう思った事だろう。意識しつつ、強く敵視するだろうとも思える。

 だが、今はそんな事は考えられない。

 ……ユーリと言う人物をよく知っているから。よく、知ったから。
 ……だけど、それでも 本当に人間なのか? と疑うレベルの強さだ。異常とも呼べる強さなのだ。ユーリには、本当に想う所が多い事もある。だからこそ、フェリスは戦闘状態を見極める、と言う名目でユーリの姿ばかりを追いかけていた。


「おい、シィル。あまり前に出すぎるな。お前は鈍臭いから、ここから|落っこち
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