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悠久のインダス
10部分:第十章
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第十章

「物凄い甘さですから」
「マンゴーだって甘いよな」
「お菓子はそれよりも遥かにです」
「それじゃあそういうのもな」
「楽しんで下さい」
 こうしてだった。その菓子も食べるのだった。その甘さは確かにかなりのものだった。それこそ頭が痛くなるまでに、そこまで甘かった。
 その甘さを味わってからだ。隼士はまたガイドに話した。
「凄かったな」
「美味しかったですよね」
「っていうか甘かった」 
 味わった味覚をそのまま言うのだった。
「もう滅茶苦茶に」
「そこまでですか」
「っていうか何だよあの甘さ」
「インドのお菓子ですので」
「インドの菓子ってどれもあんなに甘いのかよ」
「カレーは辛いですから」
 それが理由だというのだ。カレーの辛さがだ。
「ですからそれに釣り合うにはです」
「菓子も甘くないと駄目ってことか」
「そういうことです。それもまた」
「インドなんだよな」
「それでどうでしたか?」
 ガイドはにこりと笑ってまた隼士に尋ねてきた。
「美味しかったですか?」
「まあな」
 それはその通りだというのだ。
「それはな」
「はい、それは何よりです」
「インドのカレーも」
 隼士はカレーの話もした。
「美味かったけれどな」
「そうでしょう。あれこそがインドの味です」
「菓子も含めてか」
「全てが」
 カレーも菓子も。他のものも含めての言葉だった。
「インドなのです」
「そういうことか」
「そうです」
 こうだ。笑顔で隼士に話すのだった。これも彼がこの旅で知ったことだった。
 そうして旅が終わりに近付きだ。ニューデリーの空港に向かう車の中で。彼は車を運転しているガイドにこう尋ねられたのだった。
「一つ御聞きしていいでしょうか」
「何がだよ」
「インドはどうでしたか?」
 そのインドがだというのだ。
「我が国は」
「また来たいな」
 彼は前を見ながら答えた。助手席からだ。
「この国にな」
「そう思われますね」
「ああ、いい国だよ」
 自然とだ。この言葉が出た。
「本当にな」
「それではまたですね」
「ああ、また来るからな」
 また言ってだ。そしてだ。
 隼士は目の前にいる人々の中に混ざって街を歩く牛を見ながらだ。ガイドに話した。
「その時はまたな」
「はい、宜しく御願いします」
「今度は別の場所も巡りたいな」
 来ると決めているからこそ。出た言葉だった。
「インドのな」
「ええ、インドならお任せ下さい」
「何でも知ってるってか」
「そうです。ですから」
「ああ、じゃあ次は」
 その時はと。隼士は自分から話した。
「宜しくな」
「ええ、こちらこそ」
 二人は微笑になっていた。その微笑で話をするのだった。そうして隼士はまた
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