序章 王都離脱編
呼び出された勇者たち
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今、雲仙菊斗《ウンゼン・キクト》は自分が置かれている状況を正確に理解しようとしていた。
見たこともない服を着て自分達を見つめている者達がいる。
1、2、3…
目だけを動かして周りにいる人数を確認すると19人。
自分を入れると20人。
目の前にいる人々は見たことのない顔だが、隣にいる奴らは時々見かけたことのある顔だった。
多分それはクラスメートだろうな、と判断する。
なぜ覚えていないのか、と言われるだろうがしょうがない。
興味がない、からだ。
「おい、どういうことだこれ」
「え、え?」
「なんや?わいら教室にいたはずやて」
「日本…?なの…か?」
「ふぁ?どこここ」
「「「……」」」
驚いた顔をしてうろたえる八人のクラスメート達。
何人かは驚きすぎて声も出ない様子だった。
「やった!」
「成功だ!」
「これで我々も報われる!」
「しかも9人もいるじゃないか!」
「絶対魔王を倒してくれる!」
対する、目の前のRPGでいう魔法使いみたいな人々は派手な服を着ている髭の生えたジジイを残して喜びの表情を浮かべる。
「よくぞ来てくれた、異世界の勇者たちよ。私はこの国シュベラル国の王、マールド・レルジ・シュベラルだ。其方達の名前を教えて欲しい」
派手な服をきた髭の生えたジジイが笑顔のまま口を開いた。隣の8人は「え!?王!?」と王という言葉に驚愕していた。
驚愕しまくる奴等だな、と菊斗は思うが、それもしょうがないのか、とも思う。
「あ、綾上達也《アヤガミタツヤ》、です」
「歌川芽伊里《ウタカワメイリ》…」
「佐藤絵里《サトウエリ》って言うねん、よろしくな」
「…花上花音《カガミカノン》だ、よ」
「龍門時恭介《リュウモンジキョウスケ》だ」
「斎藤恵里奈《サイトウエリナ》」
「糸川純《イトカワジュン》…マールドさん、よろしく…」
「荒川愛梨《アラカワアイリ》ですよろしくお願いお願いします。王様」
狼狽えながらも菊斗の横にいた者たちは一人一人順番に名を名乗っていく。マールドは嬉しそうな表情を浮かべ、うなづいた。
「そうか、そうか。…ん?そこの髪の綺麗な藍色の目をしている少年はなんと言うのだね?」
そして菊斗が名乗っていないことに気づくとマールドは菊斗に向かって直接問いかけた。
「はぁ……俺は雲仙菊斗《ウンゼンキクト》だ…マールドさんよ、聞きたいことあるんだけどいいか?」
溜息交じりに菊斗自身の名前を告げるとマールドは笑顔を崩さずに
「ウンゼン君だね。なんだい?なんでも聞いてくれたまえ」
と答えると菊斗は疑問に思っていたことを口にした。
「ここはどこだ?そしてなんで俺たちがここにいる?勇者?なんのことだ?魔王ってなんだ?」
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