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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第八話(下) 赤き心は挫けない
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―4月4日 午後4時 40番水道 砂浜―

 レッドとエリカはミカン、そしてヤナギへの捲土重来(けんどちょうらい)を狙う為修行に勤しんでいた。
 手持ちから控えまで出して互いに戦わせることによって戦闘技術の向上を図っている。レッドやエリカは時々見回って様子を見ていた。
 例えば、やる気十分な手持ちが居たら軽く少し格上だったり、苦手なタイプの手持ちと戦わせたり、反対にやる気のないポケモンには気分転換に遊んであげたりした。
 一時間が経過し、ポケモンは野放しにしつつレッドとエリカは荷物の置いてあるところまで退避し休憩している

「はぁ……ヤナギさんどころかミカンさんにまで負けるなんて……」

 レッド自身未だにそのことが受け止めきれていないようだ。
 ミカン当人の前では動じていない振りをしてもやはり動揺は大きかったようである。

「ヤナギさんの強さに関しては前々より聞き及んでおりました故、覚悟していましたが予想以上でしたわね……。ミカンさんに関しては正直、見当もしなかった強さでしたけれど」
「そうだな。にしても先を考えないと……」

 そう言いながらレッドは空を仰ぎ見る。

「私としては、もっと効果的な戦術を執るべきだと思いますわ」
「効果的?」
「はい。力技に頼るばかりではなく、状態異常を引き起こしたり、ステータスを下げる補助技をうまく組み合わせていくべきだと考えますわ。例えば、リザードンでしたら龍の舞を用いて素早さをあげてより機動性をあげたり、カメックスでしたら鉄壁を用いて守りを強固にし攻めに対する構えを万全にしたうえで効率的に攻撃できる波乗り一本に絞るという戦術を執るべきだと思います」
「なるほど……。エリカの言いたいことも分かるけど、俺はどうも大技の魅力が捨てきれなくてな……。それにヤナギさんやその教えに従うミカンさんに勝つにはそれだけじゃ足りない気がするんだ……」

 レッドは体育座りの姿勢のまま、眼前に広がるポケモンたちとその背後にある播磨灘を眺めつつ神妙そうな眼差しでそう言った。
 
「なるほど小手先の技術だけでは不足と……。そうかもしれませんわね」
「そう。決定的な何かが……。ところでさ、エリカ」

 レッドは目深に帽子をかぶり直し、エリカと目を合わせる。
 彼女も改まった様子になって

「はい。どういたしました?」

 と尋ねた。

「お前、いつもの調子に戻ってるよな……どうしてだ?」

 彼女は一瞬合わせた眼を左下の方向へ逸らしたが、すぐに戻し、しっかりとした声で答える。

「私、昨晩貴方にされた時は本当に別れるべきかどうか深刻に悩んでおりましたの」

 レッドは目を丸くするが、自らのしたことを考えれば至極当然の事なので特に何も言わず聴く。

「しかし、貴方
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