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お歯黒べったり
2部分:第二章
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第二章

「出て来たのよ、神社の前にね」
「そうそう、鳥居のところに」
「もうぬうって」
「場所もわかったし。それじゃあ」
 博士はこのことも聞いて顔に浮かんでいた確信をより深いものにさせた。
「行こうか、今夜」
「今夜って?」
「その神社ね?」
「だから。話の謎は解けたから」
 すっきりとした、まるで御馳走を食べ終えたような顔での言葉だった。
「もうね。完全にね」
「その妖怪を退治できるの?」
「そういうこと。じゃあ僕は行くから」
 また行くと言うのだった。
「ついて来たい人は来て。それじゃあね」
「どうする?」
「行く?やっぱり」
「そうする?」
 その妖怪を見た面々は顔を見合わせて相談する。やはり怖いのは確かだがどうなるのか見てみたいという好奇心もあった。それに博士だけ行ったらそれこそ何があるかわかったものではない。そうした様々な理由から彼等も行くことにしたのである。そこに怖いもの見たさの面々博士が心配な面々も集まって数はかなりのものになった。夜に制服の学生達がぞろぞろと歩くのはかなり異様だったがそれでも皆神社まで行った。先頭を行くのはやはり博士だった。
「本当に大丈夫なの?」
「博士、相手は妖怪だけれど」
「だから大丈夫だって」
 博士の皆への返事は変わらない。
「その妖怪が何か僕にははっきりとわかってるしね」
「そうなの」
「そうだよ。それに」
「それに?」
「こんなに皆いたらね」
 ここで後ろを振り返る。そこには皆が集まっている。クラス一つ分は来ている。夜の蛍光灯に照らされそこにぞろぞろとついて来ているその光景は異様と言えば異様なものであった。
「怖くないし。皆もそうじゃないの?」
「まあ確かに」
「皆いるし」
「心細くはないわね」
 やはりこれは皆も同じであった。
「やっぱりね。皆がいたら」
「怖くないものなのね」
「僕もそうだよ。皆がいるから」
「怖くないの」
「そういうこと。それじゃあ」
「ええ」
「いよいよその神社よ」
 見れば問題の鳥居が前に見えていた。その側の電柱の灯りにより上からぼんやりと照らし出されている。その光景は如何にも何かが出るといった風景であった。後ろに続く山を利用して造られた神社の石の階段と鳥居の左右の木々が不気味さを余計に演出していた。
「あそこにね」
「出るのよ」
「いきなり出て来るから」
 見た面々が博士の後ろから彼に説明する。
「本当にぬうって」
「幽霊みたいに」
「そうなの。じゃあ」
 博士は彼等の言葉を受けたうえでさらにその鳥居に近付いた。
「あそこにね。行くよ」
「勇気あるな、おい」
「そうよね」
 皆別に怖がる様子もなく平気な顔で鳥居に向かう博士を見て囁き合うのだった。
「出て来たら何をされる
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