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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第206話 ファントム・バレット
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 《閃光》

 それは、死神もあの世界で見た事があった。リュウキ、そしてキリトの傍らに必ずいるあの少女達の剣技だ。速度の領域を考えれば、死銃の扱う刺剣(エストック)も負けてはないが、その剣技には何処か気品さ、鮮やかさ、優雅さも醸し出していたのだ。

 それだけは、殺人剣である奴らには、同じソードスキルだとしても、決して魅せる事が出来ないものだった。

 人を殺傷する事を第一に考えているラフコフの者達には必要とすらないものだろう。……だが、その2人の剣技、《双・閃光》に目が止まったのは事実だった。
 
 そして、何れはその気品に満ちた少女達を。……華、とさえ形容するのも、まるで遜色無い、寧ろ華の方が色褪せる程の美貌に、《死》を与える事が出来れば。とラフコフの面子が思ったのは言うまでもない事、だった。


――……何よりも、少女達は血盟騎士団に所属している、と言う理由も 勿論あるのだから。


 だが、それが成される事は無かった。唯一こぎつけかけた男が1人、いたがそれでも。

 ……その傍らには ラフコフにとってのワイルドカードが2枚。……2人いたから。


 
 










〜GGO〜




――なぜ、この世界で再び閃光を見る?




 死神は、この一瞬の刹那の刻に思考の渦に身を投じていた。閃光と言うのはこの世界で無い訳ではない。この世界の太陽が地平線に沈む瞬間に、眩く放つモノもあれば、夜戦中に銃?にあった時に見える発火炎(マズル・フラッシュ)。……挙げだしたら正直キリが無い。
 だが、何故 そのキリが無い情報の渦、記憶の渦の中で 何故あの世界(・・・・)の閃光を思い描く? それが死神には判らなかった。



 その一瞬の心理的隙間。この戦いに真の決着がつく。



「やはりな。……見えない攻撃、か。そのままの意味だったか」

 思考の渦の中で声が、聞えて来た。
 体感時間が限りなく圧縮された、とは言っても、実際に掛かった時間は1秒を切る。
 



――……その間に、全てが成されていた。




「っ……!?」

 一瞬で目の前に迫る男、……死神にとっての死の鉄槌。死神を迎えに来る死神。

 彼らの()が迫ってきていた。閃光の正体。……それがなんだったのかは判らない。ただ、判るのは 至近距離に鬼が現れたと言う事実だけだった。その有り得ない速度が、閃光を生み出したとでも言うのだろうか?

「光学迷彩装置、と言った所か。それを使ってお前は腕を消した。……そのマントで、身体全体を消した様に、その装置を使って、腕先、……そして銃、ナイフを消したんだろ? 弾丸までは消せないみたいだがな」


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