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乱世の確率事象改変
相似で逆接な在り方
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 民としてのんびりと歩く彼と彼女の元に二人の男が近づく。誰有ろう、彼をずっと支えてきた大切な身体の二人が。
 詠の真名を呼ばずにあだ名で呼んでいる辺り記憶が戻っては居ないと判断を下し、安堵と寂寥の相反する感情を綯い交ぜにしつつも、どうにか男達はにやにやと茶化す目を浮かべて二人に後ろから歩み寄り、

「このやろっ、心配して損したぜ!」
「えーりんといちゃつきやがって……一発殴らせろ!」

 友達さながらに笑い掛けた。

「誰がいちゃついてんだよ誰が」
「てめぇ以外の何処にいやがる!」
「くっくっ、ゆえゆえと軍師様に言いつけてやらぁ」
「心配するな。許昌に帰ったら俺には説教が待ってるんだからよ……ひなりんとゆえゆえとえーりんからのな」
「そ、そりゃぁ……ご愁傷様」
「お、おう、強く生きろよ」
「クク、まあ心配してくれてありがとよ」

 やいのやいのと盛り上がる三人の男を見つめながら、大切な大切な身体である彼らに話すべきか詠は迷う。
 一寸戻った黒麒麟のことを話してもいいものか如何か。しかし……やめておいた。彼らの求める主が確実に戻ると分かるまでは希望を持たせるべきではない。むしろ彼らがアレに会わなかったのは幸運とさえ思えた。

――あんた達が一番、あんな秋斗を見たくないわよね。

 一人ごちる。黙すことが正しいかは分からない。けれどもせめて、雛里や月と話し合って彼らに教えるかどうかの答えを出そうと思った。
 大きなため息を吐いた後、盛り上がっている三人をまた見つめる。

「あんた達ご苦労様。ありがとね、一緒に探してくれて」
「気にすんな。何も無かったなら何よりだ」
「そうそう。心配して慌てる可愛いえーりんが見れただけで万々歳だぜっ」
「え、マジ? 俺も見たかったんだが」
「てめぇは心配された側だろうが羨ましい!」
「こんだけいちゃついてる癖にまだ求めやがんのか!」
「そりゃ可愛い女の子は目の保養になるんだもんよ。お前らただでさえむさいんだし」
「黙れ! てめぇだけ役得しやがって! えーりんと一緒の馬に乗ったり一緒にメシ食ったりもしてたくせにまだ言うか!」
「いいんだぜ? 殴って黙らせても」
「おっさんの拳はご褒美にならないんで止めてくれますかねぇ?」
「俺はまだ三十手前だクソ野郎! おっさんじゃねぇし!」
「俺もだ! おっさんがおっさんて言うな! てめぇだって街のガキ共におじちゃんって言われて落ち込んでただろうが!
 っておい……自分で言って自分で落ち込んでるんじゃねぇよ……」
「ああ、すまん。哀しくなるからやめよう」
「おう。俺らはまだ若いんだ。お兄さんなんだ」
「そうだな。嫁さんだってすぐ見つかる! 第三のバカみたいにな!」
「クク、お前はハゲてるから直ぐは無理じゃな
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