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少年と女神の物語
第百二十話
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れた状態を見てスッキリした自分がいるとはさすがに言えない。

「とにかく!武双さんは少しご自身のお持ちである力がどれだけの被害をもたらしかねないのかを自覚してください!」
「基本どれをとっても世界を滅ぼせる力だと自覚しています」
「ああ、もう・・・」

 たぶん、普段お説教をする護堂はもうとっくに折れてるんだろうな。変なところで常識人なところがあるし。俺はもう、まつろわぬ神とか同族との戦いで生じた被害はどのレベルであっても必須なものであるって考えることにしてるけど。

「さて、と。んじゃ俺はガレキを全部回収して狸召喚して帰るわ。家に帰って新年迎える準備しないとだし」
「あ、ああ・・・って、これだけのガレキをそんな短期間でどうにかできるのか?」
「堅牢なる大親分で蚊帳吊り狸を召喚。後はテキトーに狸たちを出しまくって持ってこさせて俺も動き回って放りこんでいけば、数時間で終わるだろ。布をガレキに当てていくだけの簡単な作業だ」

 そう言いながら早速権能を使って大きめの布と大量の狸を召喚する。伝承のないただの狸の妖怪だけど、それでもれっきとした神獣だ。便利なことに俺の権能の超劣化版も一個だけなら使えるみたいだし、濡れ皿の怪力超劣化verを持たせればすぐに行けるだろう。あー、こういう時は神速の権能が欲しくなる・・・それさえあれば、布を自分の前に突き出してひたすら走り回ってで済むのに・・・

「・・・って、ちょっと待て武双。最初に多少無茶をしてでもその権能で異世界に連れ込めば、被害なくて済んだんじゃないか?」
「・・・・・・・・・いや、それは難しかったから。それにあれをそう言う形で使わなかったからこそ向うの隙を付けたんだから。堅牢なる大親分は他にもいろんな狸の種類があるし」
「武双さん!?」
「よーっし、ガレキをさっさと片づけるぞー!」

 逃げた。全力で逃げた。それはもう全力で。

 さあ、早く終わらせて奈良県から逃げよう!

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