七話:誰が為の争い
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睨み合い硬直した状況でザフィーラは静かに周囲の気配を探る。
相手は魔導士。それもかなりの量の魔力を持っている。
フェイトからリンカーコアを奪えば先程のなのはと同等かそれ以上のページを稼げるだろう。
しかし、欲に目をくらませて己が見えなくなるほど愚かではない。
現在はなのはの治療でユーノが戦列には加わっていないがいつまでも治療しているという保証はない。
フェイトを傷つければ助けに来る可能性は高い。
例え、二対二になったとしても負ける気など欠片もない。
ベルカの騎士に一対一で敗北はあり得ないのだから。
だが、相手がそれ以上の数であれば話は別だ。
ザフィーラの獣の感覚がこの場にまだ出てきていない存在がいることを知らせる。
どうしたものかと無言で思考している所にフェイトが湧き上がる己への怒りを抑え込む様に静かに、深く、声を出す。
「民間人への魔法攻撃、軽犯罪では済まない罪だ」
「手前は―――管理局の魔導師か?」
「時空管理局、嘱託魔導師、フェイト・テスタロッサ」
フェイトの名乗りに二人は僅かに顔をしかめさせる。
管理局はヴォルケンリッターにとっては最大と言っても過言ではない敵だ。
一般の魔導士の練度であれば騎士の足元に及ぶこともないが組織というものは厄介だ。
武力で敵に及ばないのなら搦め手で敵を追い込む。
一騎当千の将と言えど補給を絶たれればいつかは倒れるのだ。
しかも、記憶には自身たちと対等に渡り合う魔導士も数は少ないが確かに存在した。
目の前にいるフェイトとて油断できる相手ではない。
敵にさらに増援が来れば二人では少しばかり厳しい状況となるだろう。
間に合わなかったがフェイトの迅速な行動はザフィーラに管理局はこの世界に目星をつけていたのではと警戒させるに至った。
もっとも、嘱託魔導師について詳しく知っていればそこまで警戒することではなかったかもしれないが常に戦い続けてきた彼等に管理局の知識を求めるのは酷だ。
故にザフィーラは考える。
こちらは既に目的を果たしている。過ぎた欲は身を滅ぼす。
さらにここで蒐集を強行したところで残りは200ページ以上。
リスクを犯してでも無理するにはまだ早い。
(ヴィータ、戦闘を行いながら離脱の機会を探るぞ。もし、可能なら蒐集を行う)
(了解。さっさと奪って帰る)
(あくまでも離脱を優先しろ。敵は一人ではない。何よりこの辺りを警戒されると主はやての身に危険が降りかかる)
(……わかったよ。はやてのためだからな)
離脱を優先する最大の理由ははやての安全の為である。
ただでさえ魔法技術の無い管理外世界の少女から蒐集をしたのだ。
普通に考えれば魔法技術のある世界に行く方がいいものを
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