5部分:第五章
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第五章
「こんな醜い人。違いますか?」
「み、醜いですって!?」
女は今の芳香の言葉に激昂した顔になった。只でさえ醜いその顔が怒りでさらに歪む。その顔は最早誰が見ても顔を背けたくなるものであった。
「私が。醜いですって!?」
「そうよ」
肩に両手をやって傲然と告げた言葉であった。
「あんたは醜いわ。最低ね」
「その言葉、取り消しなさい!」
女はさらに激昂して芳香に言い返す。
「醜いなんて名誉毀損よ。訴えてやるわ!」
「訴えるのならどうぞ」
やはり芳香はまだ言う。
「お好きなように。裁判所でも何処にでも」
「言ったわね。それじゃあ」
「そのインチキ写真と一緒にね」
先程女が見せていた写真は今も彼女の手にある。芳香の目にもしっかりと見えていたのだ。
「専門家の人が見ればその写真すぐにわかるわよ」
「ぬうっ!?」
「大体うちの人写真なんか撮らないし」
また一つ証言が出た。
「それでそんな写真撮るかしら。しかもあんたみたいな女」
「まあ俺はしないな」
「僕もですよ」
近所の人達のうちで男の人達が今の芳香の言葉を聞いて顔を見合わせて言い合った。女は彼等から見ても極めて醜い女であった。
「こんなの撮る位ならガマガエル撮るよな」
「全くです」
「自分で撮ったのね」
芳香は写真のことも見抜いていた。
「そうね。間違いないわね」
「うう・・・・・・」
「あんたは本当に醜い女よ」
追い打ちをかけてさらに言い放つ。
「何処までもね。顔や身体だけでなく性格も」
何処までもいい潰すかのようだった。
「醜いわ。わかったらさっさと消えなさい」
「このままでは済まないわよ」
女は憎悪に満ちた目で芳香に言い返した。
「私をここまで馬鹿にして。このままじゃ」
「済まないのはあんたよ」
だが芳香はここでもまた言い返すのだった。
「それはね。あんたの方よ」
「何ですって!?」
「見なさい」
彼女が言い放ったその時だった。
「ああ、すいません」
「通報受けたんで」
警官達が来た。見れば少し離れた場所にパトカーが置かれている。どうやら芳香が先程通報したことによりここまで来たようだ。
「それで来たんですけれど」
「変質者が暴れているんですか?」
「はい、この女です」
芳香は女にきっと顔を向けたうえで警官達に答えた。
「この女がそうです」
「私は違うわよ」
「そうですよね」
しかし芳香の方がここでも一枚上であった。今度は近所の人達に問うたのである。
「真夜中に人の家の玄関の前で騒いで喚いていたのは」
「うん、そうだよ」
「この人だよ」
彼等も芳香の話を信じていた。だからここではこう述べて彼女と夫の信和を助けたのであった。
「この人が真夜中に騒いで出
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