二話:闇の書覚醒
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
本格的に夏に近づき始めた季節に切嗣は真剣な顔つきで戦況を見つめていた。
状況はまさに一進一退。下手な手を打てば敵は一気に自陣に食い込んでくるだろう。
額を伝う汗を拭きとりながら切嗣は指先に力を籠め打ち込む。
「4、五に桂馬ですか……やりますね、お父上」
「ははは、シグナムに将棋を教えたのは僕だからね。まだまだ負けられないよ」
「ですが、ヴォルケンリッターの将としていつまでも負けるわけにはいきません」
切嗣は現在、ピンク色のポニーテールに鋭い眼差しが特徴的な女性シグナムと将棋を行っていた。
切嗣もそこまで将棋が得意というわけではないが、はやてと暮らし始めてから暇な時間を持て余していたので趣味として始めたのである。
それをシグナムが興味を持ち今のように対戦する間柄になったのだ。
「ただいま!」
「お帰り、ヴィータちゃん。冷凍庫にアイスがあるから食べていいよ」
「本当か、切嗣!?」
「うん。でも食べ過ぎてお腹を壊さないようにね」
「分かってるって!」
燃える様な赤髪のおさげが可愛らしい元気いっぱいの少女ヴィータが家に帰って来る。
切嗣からアイスがあることを知らされると目を輝かせる姿に微笑みながら注意すると今度はほっぺたを膨らませながら冷蔵庫に走り去って行ってしまう。
「申し訳ございません。騎士の身でありながらあのような振る舞いで」
「いやいや、本来の自分を出してくれる方が僕も嬉しいよ」
「それはええけど、おとんはヴィータを甘やかしすぎやで」
どこかヴィータに甘い切嗣を窘めるようにはやてが青い毛を持つ大柄の狼、ザフィーラの背に乗って現れる。
ザフィーラは人型にもなれるが基本的に今の姿でいる。
因みにはやてが言うには毛並みはモフモフモフらしい。
「そうかな? 僕としては普通に接しているつもりなんだけど」
「甘いって、ザフィーラもなんか言ってやってーや」
「……お父上の判断に任せます」
「ザフィーラぁ〜」
「主はやて、耳を掴むのはお止めください」
どちらに付くべきか迷った末に切嗣の判断に任せるという逃げの手を打ったザフィーラの耳をはやてが鷲掴みにする。
少しこそばゆそうにしながらそう告げると渋々といった感じで頬を膨らませながら手を放すはやて。
盾の守護獣と呼ばれる彼も家ではただのペット扱いである。
「お父さん、はやてちゃんは自分に構ってくれなくて拗ねてるんですよ」
「シャーマルー、ちょーとお話しよーか」
「お父さん、助けてください」
「はやてが怒ったら僕でも手が付けられないからね。自分で何とかしてね、シャマル」
「そんなー」
はやてににじり寄られて助けを求めるシャマルを放置して盤上に目を戻す切嗣。
そして、騎士たちとも随分距離を
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ