過去-パスト-part3/光の贖罪
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バルタン星人が指定ポイントに選んだ場所は、かつて初代バルタン星人が初代ウルトラマンに挑み敗れた戦いの始まりの場所…『科学センター』だった。あれから40年も経ったこともあってすっかり改装されつくされていた。
すっかり夜の闇に覆われ、ここに勤務していた職員も、夜の巡回に回っていた警備員も姿を見せていない。
ミライはこの施設の入り口前にたどり着き、施設の建物に向かって大声で叫んだ。
「バルタン、約束通り来てやったぞ!サイト君を返せ!」
しかし、返ってきたのは静寂だけだった。誰もいないのか?それとも、隠れているのか?目を光らせながら周囲を見渡すミライ。すると、施設の屋上から見覚えのある人影が見つかった。すぐに追って行こうと、ミライは施設の扉のドアノブに手をかける。扉は、冷静に考えれば鍵がかかっていてもおかしくないと言うのにすんなりと開かれた。ミライにはその理由が理解できた。奴らは僕を誘っている。科学センターの扉をくぐり、トライガーショットを手に、施設の中へ足を踏み入れた。
その目に飛び込んだのは、まるで自分が、何者かの意思によって止められた時の中を歩いているようなものだった。すでに消灯時間も過ぎつつあるほどの真夜中だと言うのに、たくさんの職員や警備員たちが駆け出しの姿勢のままだったり、銃を構えて恐怖に満ちた顔のままその場に、彫刻のように硬直している姿だった。
「…兄さんが言っていた通りだ。バルタンの力で動きを封じられている」
サイトももしかしたらこの中のどこかにいるのではと考えたミライは周囲を探し回り、一人一人バルタン星人によって時を止められた人たちを見て回ったが、その中にサイトの姿は見当たらなかった…と思った矢先、ちょうど階段に差し掛かったミライの後ろを、人影が通り過ぎた。気配でそれを察知したミライはすぐに気配を追っていく。
たどり着いた先は、科学センターの屋上だった。屋上から見える景色には、星空のように都市の街灯が輝いている。一通り周囲を見渡しても、やはりサイトの姿は見当たらなかった。しかし、もう一度見渡してみると、探し求めていた人物の人影をついに発見した。
「サイト君!」
行方が分からなくなったサイトだった。しかし、様子がおかしい。ミライの言葉が聞こえていないのか、さっきからふらふらと歩いている。そして、うわごとのように何かをブツブツ呟いていた。
「…母さん……え?…何でも買っていいって…?…じゃあ、欲しかった新しいゲームでも買おうかな…はは…」
(僕の存在に気づいてすらいないのか?もしや、彼は…)
やはりバルタンの超能力で幻覚を見せられているのか。
『約束通り来てくれたようだな。ヒビノミライ。いや…ウルトラマンメビウス』
「!」
声につられて振り向いたミライの目の前に、バルタン星人が現れる。
「一体、お前たちの望みはなんだ!
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