巨人-ウルトラマン-
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「ルイズ、突っ立ってる場合じゃないわ!早く逃げるわよ!」
ルイズはその声で我に返る。気が付くといつの間にかいたキュルケが自分の背を叩いて逃げを促していた。誰もが空から降り注ぐこの光に、逃げ惑っている。今まで学び舎として利用し感謝してきた学院が、崩れ落ちていく。ルイズの心に、怒りが湧き上がってきた。
いや…今なら。今自分があの空に見える円盤に立ち向かい、撃ち落とすことさえできれば…!いや、そもそもどうして自分は逃げている?違う!ここはこの学院と、自分の貴族の矜持のために戦う時ではないのか!?ここで逃げるなど、それこそ『ゼロ』のままだ!
なんとルイズは避難先の北側から反転、杖を構えてクール星人の円盤の方へと走り出したではないか。
「る、ルイズ何してるの!?」
キュルケの静止の言葉も耳に入れない。そもそも嫌っている相手の言葉など聞きたくもなかったルイズは完全に無視を通し、ヴェストリの広場まで戻ってきた。そして呪文を唱え、空に浮かぶクール星人の円盤に向けて魔法を放った。
「当たりなさい!ファイヤーボール!」
しかし、起こったのは小さな爆発が円盤に届きもしない距離で起こっただけだった。元はゼロと揶揄されるほど魔法が不得手なルイズのことだ。自分の貴族たるべきと思っている姿に目が眩み過ぎているルイズは、正常な判断力が著しく欠けていた。それが彼女の、戦いにおける致命的な弱点とも言えた。
それでもなお、彼女は魔法を放ち続けた。だが起こるのは、届きもしない距離での爆発。
(なんで、なんでこんな爆発しか起こせないの!?)
やはり自分はただの『ゼロ』なのか?何もできない無能な奴なのか?これではまた周りの奴に馬鹿にされるだけじゃないか。使い魔であるサイトからもさらに失望を買うだけじゃないか。
(どうせ同じ爆発しか起こらないにしても…いい加減当たりなさい!!)
ルイズはとことん意固地になって魔法をがむしゃらに放ち続けた。
その時だった。たった一発だけ、彼女の爆発がクール星人の円盤の一つに当たったのだ。だが、やはり打ち落とすまでに至らない低威力だった…はずだった。
「地球人以上に原始人臭い奴らだ。確かに不思議な力を持っているようだが、我がクール星の科学力に敵うはずも…」
地上でこちらに暴走しがちな様子で魔法を放ち続けるルイズをモニターから見て、見る者を不愉快にさせる態度でクール星人のリーダーは鼻で笑い飛ばしていた。相手を見下している分、自分たちの母星の科学力に絶対的な自信を持っている。負けるわけがないのだ。
だが、部下の一人のクール星人が喚きだした。
「大変です!今の爆発で被弾した円盤に、ヒビが!!!」
「な、何!!?」
あのちっぽけな爆発で、円盤にひびが入っただと!?クール星人のリーダーは青ざめた。馬鹿な!
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