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フリージング 新訳
第34話 Goodspeed of the East2
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からなかった。

ーそれでも??

無様に負けるわけにはいかない。グラディウスを展開し、気配のある方角へと叩きつける。腕力だけならばこちらが上のようだ。思わぬ反撃に対応しきれず、後方へと弾き飛ばされた。しかし、すぐさま体勢を立て直しカズトへと切り掛かっていく。片刃の大剣を軽々と振るいながら、一合二合と打ち合っていく。キャシーの得物はどうやら小ぶりな小回りの効くもの。つまりはパワーだけならカズトのグラディウスの方が上のはず。なのに攻めきれない。こちらが逆に押し込まれていく。

「クッソが??」

グラディウスを上段に構え加減することなく振り下ろした。
ドガァン??と派手な音が摩天楼に響く。
しかし、それは攻撃がキャシーに当たったものではなく地面を叩き割った音だ。グラディウスがぶち当たった地面だけにノイズが発生し、元の白い床が見え隠れしている。呆然とそれを視界に入れていると、眼前からキャシーが猛スピードで襲いかかってくる。どうしてこんなにも躊躇いが無いのか不思議だ。

「ハァッ??」
「ゼアァッ??」

迫り来るキャシーへとグラディウスを両手持ちに変え、再び全力だ振り抜く。
しかし、その剣尖は空を切りキャシーは再び目の前から消えた。殺気は周囲に充満して見切れたものでは無い。ならば、それが最も強くなった瞬間を狙う他ないのだ。
その思考に思い至った時、背筋に高密度な殺気が突き刺さった。
グラディウスを逆手に持ち替え、背後からの剣戟を防ぐ。
金属が砕ける音が聞こえるとともに、体が浮き上がった。それほどの一撃をもしも直撃したらと思うとゾッとする。
再びキャシーの姿が掻き消え、警戒心を張り巡らせる。
だが、そろそろ“合う”はずだ。
キャシーにはちょっとしたクセがある。この短い戦闘でカズトはそれをかすかに掴んでいた。それも、カズハに叩き込まれた戦闘スキルだ。対人戦闘の場合は、相手に必ずと言っていいほどに特有のクセがある。彼女の場合、攻撃を仕掛ける直前で加速するために特有のステップを踏むのだ。
だから、そのステップに合わせれば……

「そこだ??」

斜め上から襲いかかるキャシーの刃に、ぶつけようとグラディウスを振るうが、

「っな??」

更に速度が跳ね上がり、振り抜いた刃がまたしても空を切った。

「想像以上の強さですね……」
「ありがとう。あ、そういえばお互いにちゃんと名乗っていなかったわね」

キャシーはそう言うと、再び構え直しその名と称号を口にした。

「イーストゼネティックス所属。
三学年“1位”別名イーストの神速。キャシー・ロックハートよ」

1位。その単語を聞いた瞬間に背筋が凍った。あの、シフォンと同じランクにいる人間だ。確実に自分よりも上位の世界を見ている存在を相手にして恐怖を
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