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あの太陽のように
10話

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松葉杖をついた神童がそこにいた。

え、なんで俺の病室知っていやさっき冬花さんが教えたって言ってたじゃないか落ち着け俺パニックになるなステイクールステイクール。

「そっち座ってもいいか?」
「あ、おう…」

出しっぱなしにしてあるパイプ椅子に神童が腰掛ける。

気まずい沈黙。

えー、何しに来たんだよ何話せばいいんだよぉぉぉ。

「すまないな。急に来てしまって」
「あ、いや、えと…何か用か?」
「用というか、なんというか、少し、話をしたくてな」

話?
な、何言われるんだろう俺。
やっぱさっきのホーリーロードの件偉そうだったのか?だとしたら謝罪しまくらないと、プレーしてないくせにあんな事言っちゃって。

「なぁ、風間は、サッカーが好きなんだよな?どこが好きなんだ?」
「は?」

予想外の質問に間抜けな声を出す。
どこって、言われてもなぁ。

「その、見てるだけで、面白いだろ、サッカー。何ていうか、熱くなれるんだよ」

曖昧な表現になってしまったが、うまく伝わっただろうか?
神童の様子を伺うと、嬉しそうに微笑んでいた。

「…熱くなれる、か。わかる気がする。楽しいんだよ、サッカーは」
「……楽しい…」

―――プレーできるやつは、いいよなぁ…。

「……風間?」
「…何でもない」

何考えてんだろ、俺。羨ましがっても何もなんねぇのに。

「気分でも悪いのか?」
「それはねぇよ。気にすんな」

余計な心配かけちゃったな。
神童も自分の事で手一杯なはずなのに。
なんとかして安心させないと…。

「……風間」
「ん?」
「お前は…サッカー、したいか?」
「…!!」

突然のことで驚いてしまった。
なんでそんなこと聞いてくるんだ、コイツ…。

「……お前には、かんけーないだろ」

自然と、そんな言葉が出ていた。
突き放すようで悪いが、俺はまだ、うまく考えがまとまっていない。

「会ったばかりでこんなことを言うのもどうかと思うが…お前は、サッカーがしたいと望んでいるだろう?口には出さないが、本当は」
「それ以上言うな」

俺は神童の言葉を無理矢理遮った。
それ以上言うな。…もっと、分かんなくなる。

「………すまない」

そう言って、神童は去っていった。
病室にひとり取り残される。

「……あー、馬鹿だ、俺」

何してんだろ。
せっかく、あぁいうふうに言ってくれたのに、それを突き放して。最低だな。

「…っ、くそっ……」

どうしていいかわかんねーよ。

…?
あれ、何か、眠い…?
え、何で、急、に………。

そこで、俺の意識は途絶えた。
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