暁 〜小説投稿サイト〜
dark of exorcist 〜穢れた聖職者〜
第30話「復讐」
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「ガアァァァアァ!!!」

獣の咆哮に近い鳴き声で、アイリスとシャルルを威嚇するフレースヴェルグ。
2人とも武器を構えたまま一歩も動かない。
フレースヴェルグの威嚇に臆したわけではない。

威嚇したフレースヴェルグも、鳴き声を発しただけで攻撃を仕掛けてこない。

お互いに、相手の次の一手を探っているのだ。


「(アイさん………シャルルさん………)」

そんな2人の様子を、クリスは先程アイリスに渡されたコートを握りしめ、固唾を飲んで
見守っている。実のところ、"フォールマン"の驚異的な回復力で傷口からの出血は既に止まっており、
今は傷そのものの回復が始まっている。
万全、とは言い難いが、戦いに復帰できなくもない状態にはなっているのだ。
しかし、今すぐに戦いに復帰すると、アイリスとシャルルの両方に「休んでいろ」と言われるだろう。
特に、シャルルはクリスの「自己犠牲の精神」を否定したばかりでこんな事態になったのだから、アイリス以上に
不機嫌な表情を浮かべていた。

「(クリス……感心できないと言った直後にこれか…相棒(アイリス)がどう思うかなんて分かるはずだろうに…)」







「グエェェエエェアァ!!!」


最初に沈黙を破ったのは大鷲の方だった。
巨大な翼を大きく広げながら、2人の方へ突進してくる。
巨体に見合った重量があるらしく、一歩一歩こちらに走ってくるたび、地面が揺れる。ぶつかったらおそらく即死。

「避けろ!」

シャルルとアイリスは、同時に素早く身体を捻り、大鷲の突進を回避する。
しかし、回避して終わりではなかった。
大鷲の武器はその巨体だけではないことを忘れている。



ギイィィィィン!!!!


「ぐっ…おぉぉ!!」

金属音が大音量で響いた。
危険を察知し、ファルシオンを構えたシャルルの目の前に、"それ"は来た。

シャルル目掛けて向かってきたのは、フレースヴェルグ特有の、鉤爪のついた長い尾だった。

突進を回避し、そのまま走って壁に激突してくれることを期待していたが、そうもいかなかった。
走り去る直前に、長い尾の先端にある鉤爪を広げてきたようだ。

鉤爪の存在に気付いたシャルルは、身の危険を感じ、咄嗟にファルシオンを構えたところ、案の定
そこに鉤爪が向かってきた。
大鷲の走る勢いに比例して、鉤爪の威力が尋常でないほど重くなっている。

「ぐっ、ぬ……ッ!!」

大鷲が歩を進める度に、シャルルは踏ん張る足をズルズルと後退させられる。


「シャルルさん! 待ってて!」

アイリスの声が聞こえ、踏ん張りながらもそちらに目を向けると、アイリスが銃を右手で構えていた。
もう一丁の銃を持った左手の甲で右手を
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