暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第2章 夜霧のラプソディ  2022/11
20話 新たな一歩
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
手に渾名を付けるほどのヒヨリの対人スキルに改めて圧巻なのだが、これは今に始まった事ではない。
 確かに、彼女達の満ち足りたような感情は端から見ている俺にも十分伝わるものだった。それだけに、今回の結果は意義のあるものだと思いたい。


「ただ、疲れたな。明日くらい休むか」
「いいの!?」
「俺が過労死するからな」


 ティルネルとクーネの分離後、ヒヨリの寝袋も動員してズムフトまで二人に増えたアバターを運んだのだ。全く目を覚ます様子が無いために、夜を徹しての運搬作業の末に疲労感で意識が途絶えそうになるほどだった。今でこそ落ち着いてはいるが、さっきまで気味が悪いくらい頭が冴えていたのはタガの外れた脳内物質のお陰としておこう。
 そして、どうにも気になる事が一つあるのだが、誰もそれに触れようとしないのは何故だろうか。


「ところでティルネル、お前はこれからどうするんだ?」


 連れてきておいて不躾な言い方かもしれないが、だからこそ今後どうするかは気になるところだ。
 このまま森まで送り届けても、彼女がエルフと合流出来ない以上は危険に晒すのと同義である。されど、プレイヤーと共に行動するにも制約は多く付き纏ってくる。


「えーと、どうしましょ?」


 顎に指を当て、首を傾げながら、むしろ答えを俺に求めてくるような切り返しをされる。
 残念ながら俺では力になれそうもないのだが、と思った矢先のことだった。


「ティルネルさん、一緒に行こ!」
「えっと、え? ………あの………ふ、不束者ですがよろしくお願いします!?」


 即決の意思表示を固めるヒヨリの一言。そしてノリに流されながらも乗り気のティルネル。つまり、モンスターと行動を共にするということなのだが、《圏内》に進入する際の難易度については考慮されていないのだろうな。


「あれ、燐ちゃん? これなぁに?」
「………ん?」


 ティルネルの運搬方法他諸々を考えようとしていたなか、ヒヨリに呼びかけられてそちらを向く。すると、ヒヨリの前には何やらウインドウが開かれていた。そしてその文面には………


【モンスターのテイムに成功しました。 《Tilnel:Dark Elven Pharmacist》】


 あまりに認識を超越した事態に、脳が追いつかない。つまり、テイムというのはモンスターを手懐けて使い魔として使役する状態を指すものであって、ヒヨリはティルネルをテイムしたという事になるのか。しかし、エルフをテイムするなんて話はベータ時代でも聞いたことがない。加えて、変更されたティルネルのモンスター名である《Dark Elven Pharmacist》というものは、未だかつて見たことのないものだ。謎が多すぎる。しかし、今は確実に
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ